石井紘人のFootball Referee Journal

佐藤隆治VARの的確なサポートと岡部拓人レフェリーのDOGSOを見極めたナイスジャッジと競技規則で最も物議を醸すハンドの反則【Jリーグジャッジリプレイ批評】

DOGSO】と【ハンドの反則】の考え方について、『Jリーグジャッジリプレイ』が取り上げた。

DOGSO

今節、話題となったDOGSOは二つ。

一つ目が、京都サンガ×ジュビロ磐田戦の40分、裏に抜け出した杉本に対して、GK上福元が体当たりのファウルで止めたシーンだ。井上知大レフェリーはSPAでイエローカードを掲出するが、佐藤隆治VAROFRをすすめ、判定はDOGSOでの一発退場となった。

このシーンについて、「ボールを受ける前の杉本がオフサイドでは?という議論があったらしい。これについて家本政明氏は、自ら引いたラインはネットなどで出回っているオフサイドラインより「もっとタイト。あきらかなオフサイドとは言い切れない」と語り、「現場のVARは充分に(アシスタントレフェリーのノットオフサイドを)フォローできると思い、判定を支持した」と予想した。

続いて、DOGSOの適用に関しては、「最初の印象はここ(SPA)だった」「方向感は外に行っている、角度がないとレフェリーも感じた」ため、井上レフェリーはSPAとしたのではと推測した。

ただ、家本氏もリプレイを見て、判定を変えたように、「全体感としてアタッカーはゴール方向にむかっていると判断できる」と解説し、現場目線だけでレッドカードを瞬時に判断するのは難しい事象で、レフェリーチームで的確な判定に導いた良い例と付け加えた。

 

二つ目は、徳島ヴォルティス×東京ヴェルディ戦の78分、カカが抜け出した佐藤をホールディングで倒したため、DOGSOで一発退場となったシーンだ。

こちらは「佐藤がボールを追っている状態でタッチできていないため、【ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性】がないのでは?」と議論になっているという。

このシーンでの【ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性】について家本氏は、「徳島の選手は(当該選手より)後ろにいるので、(プレーが)ノーチャンスなんですよね。ボールが浮いているとはいえ、(当該選手はプレーを)好きに出来る。可能性は充分に高い」ため、岡部拓人レフェリーが適用したDOGSOはナイスジャッジといえる。

 

【ハンドの反則】で取り上げられたのはアビスパ福岡×コンサドーレ札幌戦の39分、ルキアンのゴール前に、宮の腕にボールが当たっており、VAROFRの助言を受けて、ハンドの反則でゴール取り消しになったシーンだ。

ルールが改正されたこともあり、オフェンス側のみに適用されるハンドの反則【相手チームのゴールに次のように得点する】に当てはまるのは、ルキアン自身の腕にボールが当たっている時のみである。

つまり、このシーンの論点は、宮の腕が

【例えば手や腕をボールの方向に動かし、手や腕で意図的にボールに触れる】

【手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる】

ハンドの反則【ボールを手や腕で扱う】とは?

となる。

家本氏は

「ヘディングした選手と腕にボールが当たった選手の距離は近い。

その(宮の)手は、そこにそもそもあったの?となると、なかった。多少、リアクション的に動いている。そうすると、手がボールに向かっていったとも解釈できる。

現場でレフェリーも(宮の腕が)見えていたと思う。ポジショニングからして。(見えていた上で)現場では偶発的なものとして得点を認めたと思うんですけど、VARとのやりとりは分かりませんが、(レフェリーがOFRの)絵をみていけば見ていくほど『これって』手が動いていった、リアクションとか、バリアのように感じていったのではないかなと」と予測した反面、「僕は偶発的だと思うので、得点が良かったのでは」と個人的判定を付け加えた。一方で原博実氏は「DFだったら、これでハンドの反則をとられるだろうから、オフェンスもやはりとられてしまうよね」と適用は妥当だったのではと語った。

競技規則で最も見解がわかれるのがハンドの反則。今後も物議を醸しそうだ。

 

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