石井紘人のFootball Referee Journal

ファウル行為から大怪我での選手生命が終わることの根絶は選手に気を付けてプレーして貰うのと結果的に起きたらレフェリーが正しい判定で対応する【レフェリーブリーフィング後編】

216日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会が、2022シーズンの判定基準(スタンダード)説明会をオンラインで行った。

黛俊行JFA審判委員会委員長はJリーグの臨時理事会に出席のため不在。代わりにJFA審判マネジャー全体統括になった扇谷健司JFA審判委員会副委員長が冒頭の挨拶を行い、2022シーズンのスタンダードは新たにJリーグ担当統括に就任した東城穣JFA審判マネジャーが行った。

アビスパ福岡×鹿島アントラーズ戦の37分の脚部へのタックル、FC東京×大分トリニータ戦の34分の十六文キック、サガン鳥栖×浦和レッズ戦の11分の頭部へのチャレンジ等、選手生命を脅かすプレーの撲滅【レフェリーブリーフィング中編】

 

ハンドの反則

東城MG「昨年の改正で『ボールに触れることの全てが反則とはならない』と明記されました。ただ、ピッチ上では、手に当たった事実は皆さんが分かりますので、『ハンドだ』とアピールが起きます。本当に難しいテーマです。その中で四つのシーンを取り上げます。最初の三つですが、一つのポイントとしては、競技者のプレーへの動きに関連して、手や腕の位置が体を不自然に大きくしているかどうか。その腕の動きのプレーが、正当かどうか。妥当かどうかを審判員は判定します。」

 

川崎フロンターレ×名古屋グランパス戦:ジェジウの腕

ノーハンド

【見解】

名古屋16番の蹴ったボールが、川崎F4番の左腕に当たっていますが、左腕の位置は、その状況における競技者の体の動きから正当であり、体を不自然に大きくしていないのでハンドの法則とはなりません。

 

―なでしこジャパンのオランダ戦で、熊谷の手にボールが当たったのはハンドとなったと思うのですが、あの時はシュートに対するチャレンジということだったと思います。これもクロスへのチャレンジといえるか分かりませんが、クロスに対していっています。そのちょっと広げた腕に当たっていますが、熊谷のケースとの違いは?

 

「難しいケースだと思いますけど、熊谷選手もちょっと広がっている状況だったと思います。その違いは(言語化して表現するのは)難しい部分はあるんですけど、川崎の選手のシーンに関しては、もちろんクロスに対してブロック、チャレンジしにいっています。その動きの中で、手の位置というのは、そこにあって自然、広がっていなくて妥当と言いますか。そこはレフェリーの判断になるのですが、私どもとしては(熊谷のハンドとは違うと)そのように映像からは判断できます。」

 

大宮アルディージャ×ジュビロ磐田戦の2

ノーハンド

【見解】

磐田23番の蹴ったボールが、磐田3番の左腕に当たっていますが、右腕の位置は、その状況における競技者の体の動きによるものであり、また、競技者の体の動きから正当であり、体を不自然に大きくしていないのでハンドの反則とはなりません。

 

大宮×ブラウブリッツ秋田戦の12分、アタッキングハンドボール

攻撃側の偶発的なハンド

【見解】

ボールが大宮33番の右腕に当たった後、大宮33番がシュートし相手チームのゴールに得点しています・偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後に相手チームのゴールに得点した場合は、ハンドの法則となります。

 

―初歩的な質問なのかもしれないんですけど、攻撃側の偶発的なハンド、大宮選手のゴールだった場面なんですけど、大宮選手のシュートがディフェンダーに当たって、オウンゴールになった場合ってこれもやっぱハンドですか?

 

「ハンドの反則となるトラップをした選手がシュートを打って、ディフェンスに当たってゴールということですよね?それは一連の動きという風に判断されますので、結果的に利益を受けており、ハンドの反則になります。」

 

―トラップが腕に当たった後に、上げたクロスがディフェンスに当たってオウンゴールになった場合は?

 

「状況によりますね。たとえば、クロスがゴール方向に向かっているシュート性なのか。」

 

―たとえば、ゴール方向にいっていないクロスだと。

 

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