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FC岐阜のサッカーを理解するための戦術とフォーメーションの基礎知識【随時追加増量予定/冒頭無料公開】

 

このコーナーの趣旨
 
 会員様のリクエストにお応えし、ぎふマガ!の記事を理解し、FC岐阜のサッカーを理解できるよう、戦術やフォーメーション、サッカー用語について解説していくコーナーを設けました。一定期間、ぎふマガ!トップページに固定し、最初は無料で公開。内容は随時追加、更新していき、ある程度追加されたところから有料範囲にしていきます。
 今後とも『ぎふマガ!』をよろしくお願いいたします。

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知識1◆大木サッカーのポジション名
 
 一般的にサッカー選手のポジションを指すとき、セントラルミッドフィールダー、センターハーフ、守備的ミッドフィールダーといったサッカー用語を用います。これらについては別項で触れますが、大木武監督は、昨年まで主に採用していた4-1-2-3を基本フォーメーションとして、その配置をもとに番号で呼んでいます。以前のインタビュー記事にも掲載したこちらの画像をご覧ください。
 

 
 このように番号をふり、1番、2番といった番号で呼んでいます。なお4-1-2-3とは、フォーメーションを前後で区切った場合、それぞれの列に何人いるかを示しています。画像の配置と照らし合わせると、感覚的にわかっていただけるのではないかと思います。海外ではゴールキーパーから数えて「1-4-1-2-3」などと表記しますが、日本ではゴールキーパーを除き「4-1-2-3」と表記することがほとんどです。
 1番はゴールキーパー。ビクトル選手らのポジションです。2、3、5、6番はディフェンダー。一般的には2と6をサイドバック、3と5をセンターバックと呼びます。開幕戦のメンバーで言えば、2が柳澤選手、6が長倉選手、3が阿部選手、5が北谷選手です。4、7、8番はミッドフィールダー。フォーメーションによって役割や機能の仕方、ポジション名が変わります。この4-1-2-3では4をアンカー、7と8をインサイドハーフと呼びます。開幕戦のメンバーで言えば、4が中島選手、7が宮本選手、8が永島選手です。9、10、11番はフォワード。ここもフォーメーションによって役割や機能の仕方、ポジション名が変わります。この4-1-2-3では9をセンターフォワード、10と11をウイングと呼びます。開幕戦ではこの9が10と11よりも下がったところに位置し、かつ10と11は外に開かず、内側に絞った感じになりました。この今季のフォーメーションについては、いずれ別項または別の記事で扱います。昨年後半戦のメンバーで言えば、9がライアン デ フリース選手、10が田中選手、11が山岸選手です。
 
知識2◆ゾーンとレーン
 
 サッカーの試合をする場所についてはフィールド、ピッチ、コート、グラウンドなど様々な呼び方がありますが、『ぎふマガ!』では基本的に「ピッチ」と呼んでいくことにします。
 では試合を観るとき、そのピッチをどう区分していけばいいのでしょうか。
 
 岐阜メモリアルセンター長良川競技場のメインスタンドに座ったとしましょう。ここからピッチを3分割していきます。ホームチームのFC岐阜が左に陣取ったとすると、3分割した場所はそれぞれ以下のように呼ばれます。
 
→→→ 攻撃方向

ディフェンディングサード

(ディフェンスゾーン)

ミドルサード

(ミドルゾーン)

アタッキングサード

(アタックゾーン)

 
「アタッキングサード」というサッカー用語が耳慣れない方も多いと思います。一般に伝わりにくいサッカー用語の筆頭で、メディアでもできるだけ使用を避けています。新聞などでは「ゴール前」と言い換えるようです。これだけでは自陣か敵陣か区別がつきませんが、攻めている場面についての描写だと文脈で判断できる内容であれば、ゴール前で十分説明できます。
 ちなみに()内がDAZNでの表記です。こちらのほうがわかりやすいですね。サードというのは1/3のゾーンを指すThirdのことですから、意味としてはゾーンであるわけです。『ぎふマガ!』では、できるだけ、これらの表現を記事中に盛り込まないようにしていますが、ここでは「~サード」を用いて説明していきます。
 
 ディフェンディングサードは自陣ゴール前のことです。ゴールが近く、ボールを奪われると失点する可能性が高いので、危険なプレーをしてはいけません。自分たちがボールを持っている「マイボール」の状態では、ディフェンダーやゴールキーパーは慎重にパスを回し、ミスがないようにする。また守備の場面では、ボールを奪ったあとそのボールを遠くに蹴り出す、いわゆる「クリア」をする場合は大きく蹴ったほうがよいとされています。クリアが小さいと相手に引っかかったり、再びボールを奪われたりするからです。
 現代サッカーではFC岐阜のように、高い位置からフォワードの選手がプレッシャーをかけてボールを奪うチームが増えてきていますが、それは上記のように、相手ゴール近くでボールを奪うと得点の可能性が高くなるからです。こういう攻撃を最近は「ショートカウンター」と呼びます。
 
 その反対に、アタッキングサードでは慎重さよりも大胆さが求められます。なぜならアタッキングサードでミスをしてボールを奪われたところで、自分たちのゴールは遠くにあり、失点をする前にボールを奪い返すチャンスがあるからです。奪われることを恐れず攻撃せよ、ミスになっても挽回できるから、ということです。
 もちろん、ボールを奪われたあとの、相手の「カウンター」攻撃を防ぐためには、あらかじめそのための備え(「リスクマネジメント」、危機管理と言います)をしておかなくてはいけません。そして相手はそれをわかっていますから、いかにしてその危機管理の隙を衝き、カウンターを成功させるかに知恵を絞ります。
 
 ミドルサードは文字どおり、真ん中を指します。ここでは両チームのミッドフィールダー同士がプレッシャーをかけ合い、ボールを奪い合うことが多くなります。
 ミドルサードでボールを奪ったチームはアタッキングサードへと進む、奪われたチームはディフェンディングサードへと戻るという関係です。
 
 さて、近年は「5レーン」という言葉も流行しています。もちろんJクラブの指導者もこの言葉と理論を知っていて、戦術の構築に役立てています。
 このレーンは何かというと、さきほどの1/3ゾーンとは異なり、ピッチをタテに見たときの分割を指しています。以下の図をご覧ください。
 

左/右 ハーフスペース 中央 ハーフスペース 左/右

 
 サッカーに関する会話で「中と外」「左右と中央」のように、タテを3分割した表現が出てくることはご存知だと思います。実際、おおまかには「中を使うと外が空く」という感覚でピッチの幅を捉えていることは確かです。
 しかしパスを通し、ドリブルで進入していくには、スペースが必要です。できるだけ人がいなくて少しでもスペースが空いているところを使いたい。そう考えたときに、左右両サイドのレーンと中央のレーンとの間に、ちょっと空きがちになる領域があるじゃないか。ここもひとつのレーンと数えよう――となったものが5レーン理論だと解釈していただければ、概ね大丈夫だと思います。
 5レーンを意識した選手にとってプラスの効果のひとつは、タテ方向に空いている場所を感じ取りやすくなることです。パスというものはそれが相手の近くを通ったとしても、相手に触れさえしなければ奪われないものです。ですから、極端な話、ボール1個分の幅がディフェンダーの自分から最前線のフォワードまで空いていたら、そのタテの通路に1本のスルーパスを出してアタッキングサードまで通してしまってもいいわけです。
 一瞬、タテ方向にどこが空くかを察知しながら攻撃を組み立てていくためにも有用だということです。その意味では、ゴール裏のサポーター視点で「ここを攻めろよ!」と思う感覚にフィットした見方かもしれません。
 
 この、いわゆる「深さ」と「幅」の両方を意識すると、いまどちらのチームがどこをめざして動いているのかがわかりやすくなると思います。
 
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知識3◆2019シーズンの4-4-2
 
 J2第3節が開催された岐阜メモリアルセンター長良川競技場では、県外を含むメディアの方に、今シーズンFC岐阜が採用している4-4-2についていろいろと訊ねられる機会がありました。そのように、ここまでの3節でこのフォーメーションの機能性がかなり知られてきていること、大木武監督自身もこの種の質問に答えるようになってきたことを鑑み、ここで一度整理してみたいと思います。まだシーズンが始まったばかりですので基本的な分析に留めますが、観戦の指針にご一読ください。
 
 論より証拠、百聞は一見にしかずとも言いますので、まずは4-1-2-3の画像をご覧ください。

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