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間に合った軌道修正。一年越しのミシャエル初ゴールが希望をつなぐ、価値ある引き分け【J2第34節レポート】

 

「(先発を離れていたことは)もちろん悔しいですけど、このピッチに立つためにずっとやっていたので。でもそれはそれとして、今日はすごく楽しかったです」と、中島賢星。懸命にピッチを駆けた。 © Kaz Photography/FC GIFU

「大木さんと北野さんとで戦術がちがう。そのなかでも出場するために全力を尽くしてきた。常に準備をしていたことがこのゴールにつながった」と、喜びを述べたミシャエル。 © Kaz Photography/FC GIFU

◆再び前を向くための貴重な1ポイント

 9月29日、FC岐阜は岐阜メモリアルセンター長良川競技場でJ2第34節に臨み、横浜FCと対戦。1-1の引き分けで勝点を25に伸ばし、直上の2チーム、鹿児島ユナイテッドFCおよび栃木SCとのポイント差を1縮めた。

 守備を重視して慎重にゲームを進めていた序盤の前半10分、竹田忠嗣のクリアが相手選手に当たりゴール方向へと跳ね、クロスのようなかたちになる。そしてこのボールを受けたイバが難なく流し込むと、横浜が先制した。ミスや自陣ゴール付近での拙い対応で先にゴールを与える今シーズンの悪癖をまたも繰り返してしまう格好になった。

 0-1で折り返し、あとがない岐阜は後半、前からプレッシャーをかけてボールを奪い、タテに攻める戦い方へと移行。得点に結びつきやすいボックス角の地点を攻略しようと果敢な攻めを繰り返す。當間建文がウラのスペースへと出したボールに中島賢星が走り込めば、途中から出場していたタビナス ジェファーソンのクロスに塚川孝輝が合わせようとする。そのようにゴールの匂いは漂うもののチャンスをモノにできず、もはやこれまでか、と思われた後半45分に、アグレッシブな姿勢が結実した。ヤン オレ ジーバースのすばらしいフィードを甲斐健太郎がすばらしいフリックで前線に送ると、このボールはミシャエルへ。そこまでも攻守にランニングを繰り返してきたミシャエルは躊躇することなくドリブルを選択し、快速を活かしてゴール前に進出、シンプルな方向転換で横浜のディフェンダーを振り切ると、右足を一閃。すばやく力強い一撃を叩き込み、ついに岐阜が1-1の同点に追いついた。
 ユニフォームを脱いだミシャエルは上半身裸の状態で岐阜ゴール裏へと一目散に駆け出し、喜びを爆発させる。チームにとっても、岐阜デビューから一年二カ月が経過したミシャエルにとっても、待望の一発だった。

 前田遼一を投入した岐阜は4分間と表示されたアディショナルタイムの最後に右コーナーキックを獲得。5分台に突入してのラストチャンスに勝ち越しを賭けるが、甲斐が落としたボールに詰めることができず、無情にもタイムアップの笛が鳴った。
 勝てる可能性もあった試合。否が応でも悔しさが募る。しかし、前節終了時点で3位の強豪からもぎ取った1ポイントには、失いかけていた自信とJ2残留への希望を取り戻す大きな意味がある。
 前を向き、顔を上げ、残りの9試合を戦うための勇気を得たことが、なによりの収穫だった。

◆“スター軍団”をたじろがせた“特攻野郎Bチーム”

 長良川に襲来した横浜FCが巨星揃いのエリート部隊だとするならば、彼らを迎え撃つFC岐阜の前線はさしずめ特攻野郎Bチーム。中島、ミシャエル、タビナス ジェファーソンといった、これまで試合に出ていなかった若い力が躍動した。

 横浜戦を控えたトレーニングで試行されていたパターンのひとつが後半に出現した。出場経験に乏しいミシャエルとサイドバックのタビナス ジェファーソン、そしてシーズン序盤はアンカーとしてプレーしたものの徐々に出番を失っていった中島を前に置くこの布陣に、もちろん実績はない。だが北野誠監督には、

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