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OBに聞け! 森安洋文さん(株式会社Football Heroes代表)その2「最下位を脱出した大垣が分岐点だったと思います」【OB Interview シリーズ第1弾/無料公開】

 

FC岐阜で3シーズンに渡ってプレーした森安洋文さん。2013年の逆転残留が思い出に。


 FC岐阜で活躍したOBのみなさんを直撃するZoomインタビューシリーズの第1弾は森安洋文さん(2012-2014)! 今回はFC岐阜へと移籍加入してから引退までを訊く完結編。シドニーFCでプレーし、ACLにも出場した森安さんは2012年9月、残留争いの渦中にある岐阜へ。Jリーガーになるという目標を現実のものとすると、翌年はあの「9・22大垣決戦」のピッチに立つのだった――。
 
◆Aリーグの経験を糧にいざJリーグへ
 
――オーストラリアのサッカーが変わりつつあった時期の2012年、FC岐阜に加わったわけなんですけど、やはりプロ選手としてJリーグでプレーすることにこだわりがあったのですか?
 
森安洋文 そうですね。小学生の頃からJリーガーになることが目標であり夢でもありました。
 とはいえ、こういう機会(シーズン半ばの補強で白羽の矢が立つ)がないとなかなかなれない――とも思っていたところ、シドニーをOUTになり、東南アジア諸国も視野に入れて動いていた矢先にお話をいただき、思いがけず練習参加というかたちになったんです。めったにない好機ですし、Jリーグ、日本でプレーをしたいという想いのほうが(海外で所属クラブを探しつづけるより)強かったので、結果的に東南アジアには行かず、FC岐阜に行きました。
 
――岐阜にしてみれば、J2残留の可能性を探る夏のウインドーでの補強ということもあり、国内市場の外で、海外で実績がある日本人選手の獲得に動いたかたちですね。
 
森安 お互い熱量を持って、向き合って話ができたと思います。当時は(J2)残留が一番の目的であったので、その話ももちろん出ました。そのうえでの決断ではあったので、何をしなければいけないのかは重々承知しながら練習に加わり、契約をしたという経緯です。
 
――Jリーグデビューは10月21日の京都戦でした。9月上旬の加入から一カ月強、ご自身をどう高めていきましたか?
 
森安 まずオーストラリアのシーズンが4月下旬に終わり、オフシーズンにシドニーFCをOUTとなってから岐阜に行っているので、けっこうな期間、ぼくはプレーをしていなかったんです。Aリーグはプレシーズンでしたけれども、Jリーグはずっとシーズンが続いていた。その間にぼくのコンディションはだいぶ落ちていて、岐阜へと加入してすぐ試合に出て貢献したいとは思ったんですけど、まわりの選手と比べると圧倒的にコンディション不足。一カ月と少し、ベンチ入りさせてもらいましたけど、やっぱりまだ本調子ではなかったかなと思います。チーム自体はずっとリーグを戦ってきているなかで、そこにいきなり合わせて調整していくのは、なかなか難しいものがありました。
 
――西京極の京都戦で実際に体感したJリーグのサッカーとは?
 
森安 やはりテクニカルな選手が多い印象ですね。ボールをしっかり持ちますし。あとはオーストラリアのAリーグに比べると、圧倒的にロングボールは少なかった。もちろん相手が京都というのはあったと思いますが(※2012シーズンの監督は大木武氏)。
 
 オーストラリアも決してロングボール主体ではないんですけど、基本的には前にでかい選手がいてそこに当てていくというスタイル。それに対して京都は足もとが巧い選手が多かった。やっぱりみんな巧いなと。
 オーストラリアには、体をぶつける激しさがあります。向こうではファウル覚悟というくらいの気持ちでぶつかってくるので、その差はやはりあったかなと感じます。
 
――結果、森安さんが加入した2012シーズンは残留に成功しました。ただ喜んでばかりもいられず、長いスパンで見ると、J2参入からしばらくは中位をめざすような成績であったのに、気づけば毎年21位で残留争いという傾向になってきていた。翌年もJ2残留はできたものの、厳しいシーズンでした。戦力がそんなに悪いわけではなかったと思うのですが、それでも容易に勝てない難しさを感じた部分はありますか?
 
森安 そうですね、やはりJ2は簡単なリーグではありません。観ているみなさんもおわかりだと思うんですが、プレーをしている側としてもそれはすごく感じるリーグだなと思います。純粋にチーム力が高ければ勝てるというわけでもないですし。言い換えると、その辺もサッカーの面白さだと気付かされたということでもあります。(実力差がストレートに出やすい)Aリーグではなかなか感じないマインドでしたので、J2は面白いリーグだなと思いました。
 
――やはりJ2は勝点に追われる感がありますね。
 
森安 それこそ、リアクションじゃないですけど、チームとして相手のフォーメーションに合わせてその週、その週で変えていくという傾向がありました。それが正解かどうかはわかりませんが、結果残留できていたので、よしとするのか――。
 監督さんの考えで対戦相手によって変えていくのもひとつの選択肢ですし、自分たちのプレースタイルを貫く考えもひとつの選択肢。しかしどちらかを採るとなったとき、残留がメインということを考えると、負けない、勝点を獲りに行くという考えになります。みんなが好きなサッカーではないけれども、やらなければいけないサッカーということで、そこに若手の子たちは少し葛藤があったのかなと思います。
 
◆逆転残留に貢献! そして引退後もFC岐阜との縁は絶えず
 
――2013シーズンは終盤にポイントを積み上げて、いわば“まくる”格好で逆転残留を果たしたのですが、監督交替(※行徳浩二監督から辛島啓珠監督)などの刺激がチームに勢いをもたらした面はありますか。
 
森安 新しい監督が就任するという知らせは突然でした。ただ、監督が急に変わって何かが劇的に変わるという感触は、ぼくのなかではそれほどありませんでした。
 やることはいっしょ――という部分で、ハットさん(服部年宏)を中心に選手同士で話し合ったことは憶えています。やることはひとつなので、それに向けてどう合わせていくか。監督がやりたいプレースタイルをぼくらがどう表現するかもそうですけど、ハットさんたちとすり合わせることができたと思います。
 
――残留に必要な勝点を考えると3ポイントが欲しいので攻撃的になりますが、敗戦も許されないので守備も固めないといけない。時間帯によって使い分けていたのですか?
 
森安 最初は前から行く、というプランはその当時ありましたね。5分、10分は前からプレッシャーをかけてボールを奪いショートカウンターまで行こうと。そう簡単なリーグではないので嵌まらないときのほうが多かったですけど、点が獲れたときは流れがよくなるので、まずはそれを目指していたと思います。
 
――森安さんは貴重な大垣決戦(2013年9月22日、大垣市浅中公園総合グラウンド陸上競技場、J2第34節)の当事者なんですが、いま仰った試合運びが功を奏して勝利につながったのでしょうか?
 
森安 あのときはほんとうにもう勝たないといけないという気持ちがだいぶ先行していたと思います。「何があっても負けられない」と言うような。
 
 すごく暑かった日だと記憶しているんですけど、お客さんもたくさん入っていて(気温30.7℃、入場者数3,369人)熱量ももちろん感じていましたし、勝たないといけないという想いのほうが強くて、うまく歯車が合った試合のひとつだと思います。
 
――ファン、サポーターにとっても印象が強烈な一戦となりました。
 
森安 そうですね、スティッペがワンツーから先制点を奪い、2-1で勝った接戦だったんですけど、最初の得点でかなり騒いでいたのを憶えています。終わったあとにみんなアドレナリンが出ていたのか、選手も激しく喜んでいました。
 
――終盤戦はどんどん勝点を稼げるような勢いがありましたか?
 
森安 そうですね、あそこで最下位を脱出したという流れがあり、大垣が分岐点だったと思います。そこで勝てたことで、それこそスティッペとか前の攻撃陣が点を獲って流れがよくなり、選手自身が自信を得ることができた。プラスに作用したと思います。
 
――仕事を果たし、翌2014シーズンをもって現役を引退されました。
 
森安 そのときは30歳。もちろんサッカーをしたい気持ちもありましたし、東南アジアでも探したんですけれども、うまくチームが決まらなかったこともあり、将来のことも考えた結果、サッカー選手とは違う道もあるだろうと思い、引退を決めました。
 
――進路を考えている時期に、現在取り組んでいらっしゃる事業の構想はあったのでしょうか?
 
森安 考えていました。最初にシドニーFCに加入できたことに、運やタイミングという要素もあるんですけれども、やはり英語が話せてコミュニケーションをとれたことも、ひとつの要素だとぼくは思っています。その重要性を鑑み、英語をサッカーにミックスして子どもたちに楽しいなかで触れてほしいという想いがあったので、それがきっかけですね。
 
――サッカー以外のこともできる器をお持ちで30歳を迎え、いい区切りだったのでは?
 
森安 自分にそう言い聞かせている部分もあるのかなと思います。サッカーをすることは幸せですし、もちろん続けられるものであれば続けたいと思っていたんですけど、そのバランスですよね。
 生活をしていかないといけないですし、ただサッカーをするだけでは生きていけない。そう考えれば、次のステップに行くのも悪くはないかなという心境に至りました。
 
――次のステップに至った結果、またFC岐阜と仕事をすることになるというのも、縁を感じる興味深いお話ですね。
 
森安 ぼく自身も、引退後にあらためてFC岐阜さんと関われると思ってはいなかったので、通訳というかたちでも関わることができてよかったと思います。
 サッカーを通して出会った方々と再度一緒になり、同じ時間を共有できたのはそれだけで大変嬉しいことですし、やはりサッカーを続けてきてよかった――と心の底から思える瞬間の一つです。
 
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