「football fukuoka」中倉一志

vs.鹿島レポート 福岡の現在地

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試合:2015Jリーグ・スカパーカップ 福岡vs.鹿島
日時:2月4日(水)14:00キックオフ
会場:KIRISHIMA ハイビスカス陸上競技場
結果:福岡0-2(前0-2、後0-0)鹿島
得点:[鹿島]高崎(7分)、山本(38分)

アビスパ福岡は4日、2015Jリーグ・スカパーカップで鹿島アントラーズと対戦。開始早々の7分に先制ゴールを乳母掘れると、38分には連携ミスから追加点を奪われた。後半は相手陣内に攻め込む時間帯も増えたが、昨シーズンJ1で3位の鹿島との実力差は否めず、今季初めてのJリーグチームとの対戦は敗戦に終わった。福岡は7日、2015Jリーグ・スカパーカップ第3戦で、大分トリニータと対戦する。

崩されるシーンは少なかったが・・・
「現時点で鹿島相手に何が出来るのか」。
それをテーマに臨んだ福岡の布陣は3-5-2。守備の再構築が求められる福岡にとって、ここまで取り組んできた守備戦術が、どの程度通用するのかを確認することが目的だった。コンセプトは、ブロックを敷いた守備をベースに、ここぞというところで、アグレッシブに自分たちからボールを奪いに行くというもの。相手ボール時には、両WBを下げて5枚の最終ラインを形成。その前に3トップの両翼を下げてボランチとともに4枚のラインを作って相手を待ち受け、ボール奪取の機会を窺う。

結論から言えば、鹿島に崩されるシーンは少なかった。まだまだ精度を上げる必要はあるが、縦に入れさせないという点については、少しずつ、少しずつ、良くなってきている印象はある。井原正巳監督も「ある程度、意図した守備が出来た時間も多かったと思う」と一定の手応えを口にしている。その言葉通り、相手が鹿島であったことを考えれば、大きく崩されるシーンがなかったのは、ここまでの練習の積み重ねの結果と言えるものだろう。

ただし「アグレッシブに自分たちからボールを奪いに行く」という点については、その形が出来たとは言い難い。時折、「ゴー」という掛け声とともにプレスに行こうとした場面もあったが、結局、プレスのかけどころ、ボールの取りどころが明確になっていないために、意図的にボールを奪いに行く形はほとんど見られなかった。結果としては、低い位置に人数をかけて守りを固めていたという印象が強く残る。

現状を成長過程のひとつと見るのか。目指す守備が出来ていないと見るのか、戦術練習を始めて間もない段階で判断することは難しい。ハッキリしていることは、両方が出来て初めて守備として機能するということだ。

依然と続く攻撃面の課題
課題として残ったのは攻撃面。奪ったボールをどのように運ぶのかという点については、チームが目指す方向性のようなものを感じることは出来なかった。守備を意識するあまり、ラインを下げすぎていたという状況もあったが、ボランチがボールを引き出しても、中盤で受ける選手がおらず、結局、横パス、バックパスを繰り返し、最後は自分たちで窮屈な状態になることを繰り返した。この傾向は昨シーズンから続くもので、福岡U-18、福岡大学とのトレーニングマッチでも散見された。

また、失点シーンもいただけないものだった。特に2失点目は、戦術上の問題と言うよりも、それぞれの選手が、それぞれの役割を果たしていれば防げた失点。いわゆる個人戦術上の問題が重なって生まれた失点で、過去のシーズンにも見られたものだ。もちろん、チーム全体の連携不足から生まれたものだとも言えるし、サッカーにはミスが付き物なのだが、チーム云々の前に、1人、1人が自分の責任を果たすことが出来なければ、結果を手に入れることは出来ない。

ただし、今の時期は課題を1日でも早く、ひとつでも多く見つけ出すことが何よりも求められていること。その上で、何を、どのように修正していくのかが基本的な態度だと言える。まして、新しくスタートしたチームであれば課題があること自体は当然。それをスピード感を持って修正していくことこそが大事になる。そういう意味では、7日の大分戦では新しい課題を見つけると同時に、いまある課題をどの程度修正出来るのかがポイントになる。

【中倉一志=取材・文・写真】
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