「football fukuoka」中倉一志

アウェイの旅2015 愛媛編(その2)

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15日(日)13:05、小雨の降る中で、今シーズン最初のアウェイ遠征である愛媛-福岡が始まった。アビスパはシンプルに前線にボールを送り、セカンドボールを前向きの姿勢で拾ってゴールを目指す。最初のチャンスは2分。セカンドボールを右へ展開。牛之濱拓が右サイドを突破して折り返したところへ、末吉隼也が飛び込んで左足を振り抜く。牛之濵にとってはプロ入り初先発の試合。硬くならないか心配だったが、動きは軽快だ。彼のためにも今日は勝ちたい。そんな念を記者席から選手たちの背中に送る。

だが、結果は思うようにはいかなかった。6分、福岡が見せた一瞬の隙を突かれて西田剛に先制点を奪われると、26分には河原和寿に追加点。後半に入ってリズムを取り戻したものの、ゴールは中原貴之のヘディングによる1点しか奪えなかった。結局、今季初遠征は1-2の敗戦に終わった。取材後、何食わぬ顔で記者会見を聞き、選手のコメントを拾う。選手も気丈に振る舞いながら、こちらの質問に答える。互いに仕事である以上、当然と言えば当然だが、やはり敗戦のあとは心が重い。

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さて、スタジアムの様子も紹介しておこう。改修中のニンジニアスタジアムは、スタジアム前広場が使用できないため、スタジアム入口からバックスタンドに向かって屋台が並ぶ。お馴染みの「じゃこカツバーガー」を始め、魚のすり身を目の前で揚げてくれる「じゃこかつ」、三津浜のソウルフードである「三津浜焼き」など、地元グルメを中心に様々なもが並ぶ。私のお気に入りは、炊き込みご飯の手造りおにぎり。ひとつ100円で5種類の味が楽しめる。その場で焼いてくれる厚焼き玉子もお勧めだ。

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ブラブラと歩いていると「このホタテ美味しいですよ」というアビスパサポーターに誘われて、活きホタテの焼いたのものを口に運ぶ。確かに上手い。同じ店では、美味しそうなイカも焼いている。はて、四国でホタテやら、イカやら取れただろうかと素朴な疑問が浮かぶ。「おばちゃん、ホタテはどこで取れるの?」と私。「北海道!直送だから美味いよ!」とおばちゃん。「イカは?」と私。「これも北海道」と勢いよく答えるおばちゃん。まあ、美味しかったからよしとしよう。

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試合後の取材を終えたら松山市駅へ。帰りのフェリーの出航時間までの時間を潰す。足を運ぶのは私のお気に入りのお店「なだ」。松山市駅から徒歩30秒ほどのところにある。10席余りのカウンターと、4人がけの小上がりがふたつ。奥まった所に小さな座敷がある、こじんまりとした大衆料理屋で、松山に行った時は必ず立ち寄ることにしている。地元の人たちが通う店で、特別な食べ物があるわけではないが、どれも、しっかりとした仕事がされていて、大将の腕の確かさが窺える。そして何より安いのが嬉しい。

いつものようにカウンターの一番奥に座って、いつもの肴を注文する。ほどなく運ばれてきたのは「ホータレ天」(小いわしを丸ごと天ぷらにしたのもの)。口に運ぶと、薄く、カラッと揚がった衣の食感が楽しい。その食感を追いかけて、口の中にいわしの香りが広り、それをビールで喉に流す。「美味い」。1人の身にも拘わらず、思わず、そんな言葉が口に出る。この日は、目の前で湯気を立てていたおでんと、おかわりに芋焼酎のお湯割りを飲んで、締めて1,730円。やはりいい店だ。

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そして、胃袋を満たし、敗戦の悔しさを酒で洗い流して松山観光港へ。船内で酒盛りとも考えたが、こんな日はさっさと眠りにつくに限る。目が覚めれば小倉。そして、次の試合に向けての準備が始まる。悔しさは胸の奥にしまい込んで次に向かうことが肝要だ。

【中倉一志=取材・文・写真】
◎愛媛アウェイ旅 行程&旅費
日時 行程 料金
3月14日 千早→小倉 1110円
小倉港→松山観光港 8010円
松山観光港→松山市 510円
ニンジニアスタジアム→松山市 510円
松山市→高浜 370円
高浜→松山観光港 160円
松山観光港→小倉港 7210円
3月15日 小倉港→千早 1110円
合計 18990円

◎立ち寄り情報 東道後温泉「久米之癒」
住  所/愛媛県松山市南久米町325-1 089-970-1126
営業時間/11:00~翌9:00(22時間営業) ※年中無休
アクセス/松山市駅から久米駅へ(11分 190円)。久米駅から徒歩5分。
料  金/大人450円、子ども200円
そ の 他/貸バスタオル、貸タオル等あり。
公式HP/http://yu.kume.cc/

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