「football fukuoka」中倉一志

アウェイの旅2015 栃木編(その1)

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選手たちに過酷なスケジュールを強いることになった今年のGW。私の記憶が正しければ、これほどまでに過密日程だったのは初めてのことではなかったかと思う。過去も、中2日、中3日と続く試合はあったが、連戦の疲労がピークになる第12節、第13節が、2試合連続で中2日で行われるというスケジュールは体験したことがないように思われる。さすがにこれはきつかった。ただ取材に行くだけの筆者でさえ疲労が溜まるのだから、選手たちの疲労の蓄積度は言うまでもないだろう。

今回の連戦で改めて感じたのは、肉体的な疲労もさることながら、日常のリズムが狂うことによる精神的な疲労も蓄積するということだ。シーズンが始まれば、物事はすべて1週間単位で動いていくのだが、それが全く違うサイクルに変わる。それに伴い、仕事以外の私生活も異なるリズムになる。しかも、それが2週間も続けば、心のゆとりは失われていく。そんな中で、結果を求められる選手たちの大変さが、今さらながら感じられるGWだった。

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さて、今回の栃木の旅は、試合前日の夜に千早駅をスタート。最終便で羽田へ向かった。連戦の疲れを取るためと、遠征費を節約するために、宿泊先は上野のサウナ+カプセルホテル。ところが、この遠征は最初から躓いた。上野に着いたのは24:00頃。しかし、この時点で翌朝までに仕上げなければならない原稿は3本。チェックインすると同時にビジネスルームにかけ込んでノートPCとにらめっこを余儀なくされた。途中、仮眠を取って原稿が仕上がったのは翌朝9:00。熱いシャワーだけを浴びて大急ぎでホテルを飛び出した。

朝食は、手早く済ませるために、私が愛して止まない「立ち食いそば屋」へ。店内は朝方まで飲んでいたであろう若者や、これから仕事へ行くであろう人たちで埋まっている。注文は当然ように「天玉そば」。まずは、東京の下町特有の甘辛いつゆをひと口。胃が温まっていくのを確かめてから、そばをたぐる。そして、福岡では薬味に使われることのない太ネギを箸休めに口に運び、つゆを吸って程よく柔らかくなったかき揚げにかぶりつく。サラリーマンだった頃、何かと言えば口にしていた「立ち食いそば」。ほっとする味だ。

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さて、やや出遅れたこともあって新幹線で宇都宮へ。所要時間は約50分。うとうとしているうちに気が付けば宇都宮に着く。駅構内コンコースを歩いていくと、栃木SCとリンク栃木ブレックスのコラボポスターが出迎えてくれる。「住めば愉快だ宇都宮」「蹴れば愉快だ宇都宮」のキャッチコピーに思わず心が和む。Jリーグ以外にも地元にプロスポーツクラブが存在する町では、このようにコラボする形での告知は一般的だが、残念ながら福岡では見かけない。少しばかりうらやましい気がしないでもない。

コンコースを抜けて東口へ出れば、そこは餃子ワールド。3つの餃子店が並び、オープンスペースで食事が出来るようになっている。そして、その空間の中に栃木県グリーンスタジアム行きの無料シャトルバスの発着所がある。シャトルバスに乗り込み、偶然、一緒になった顔なじみのサポーターと、ああだ、こうだと情報交換しながら、アウェイのスタジアムを目指す。仲間とともに同じ空間と時間を楽しむ貴重な時間。アウェイ遠征の楽しみは試合だけではない。

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シャトルバスに揺られること約30分。栃木県グリーンスタジアムに着く。作りはシンプル。しかし、適度な角度のスタンドを持つサッカー専用競技場は非常に見やすく、また、青々と整備された芝生の美しさもあり、私が好きなスタジアムのひとつでもある。ただひとつ難点があるとすれば、このスタジアムで楽しい思い出が少ないこと。改めて調べてみると、天皇杯を含めて4回対戦して福岡の1勝3敗。2010シーズン第16節で勝利して以来、勝ち星がない。おまけに、雷雨のために順延、再試合もあった。

そんな思い出を書き替えるために、いつものように「敵を倒すなら、まず敵を喰え」とばかりにフードコートを彷徨する。まずは福岡戦限定メニューの「宮っ子焼き イカ明太マヨ」をチョイス。焼きそば入りのお好み焼きに、トッピングに、ゆでた(?)イカと明太マヨネーズが乗っている。そして「一枚岩チキンカツ」。広げた鶏胸肉をカツにしたもので、その大きさはご覧の通り(写真参照)。胃には自信のある筆者も寄る年波には勝てず。完食は断念せざるを得なかった。いま思えば、これが良くなかった・・・。(続く)

【中倉一志=取材・文・告知】
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