「football fukuoka」中倉一志

いい状態になっている(ウェリントン)

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内容:練習後の共同囲み取材
日時:2015年7月29日(水)
場所:雁の巣球技場

◎ウェリントン選手
Q:ここまで、途中から3試合に出場しましたが、チームには馴染んできましたか?
「そうですね。そこはいい状態になってきていると思います。チームメイトは私のスタイルを理解してくれて、私の自由にさせてくれていますし、グループに対するリズムは良くなってきていると思うので、さらに連携を深めて、どのようにプレーしていくのかという段階にいます。あとはやはり、フィジカルコンディション的なところがテーマだと思いますね」

Q:フィジカルの面では、まだ90分間戦えるというところまでは戻っていないということですか?
「これまでの試合では京都戦が一番疲れましたが、90分間もつのか、もたないのかということでは、それは90分間プレーしながらでないと、多分、そのテーマはクリア出来ないのではないかと思います。今のところ3試合途中出場して、何も問題は感じていませんし、自分の中では、いい状態であると感じています」

Q:今はスタートから出たいというお気持ちですか?
「はい(笑)。ただ、私はそう思っていますが、やはり大切なことは、チームとして、これが適切だという判断をしなければいけないということです。私はシーズン途中からアビスパに加入し、ここまで途中出場で3試合に出ましたが、チームメイトは、シーズン開始からここまて、既に20試合以上をこなしています。その差というのは大きいし、状態はまるで違います。私はJ2リーグでのプレーを経験していますから、どのようなリーグであるかということは分かっていますが、ゲーム感覚を戻すとか、フィジカル面での準備というものは、また別のものです」

Q:チームメイトが自分の良さを理解しているとのことでしたが、ウェリントン選手が求める、いいクロスボールというものが、なかなか入ってこないのが現状です。その点について、これから、どうやって求めて行くつもりでしょうか?
「これまでの3試合は、後半の10分過ぎた辺りから試合に入っていますが、後半のスタートから入るのとでは、その入り方は全く違います。10分とは言っても、ゲームの流れやリズムに乗るという意味では、その10分間の違いは大きいし、途中から入る方が非常に難しいという状況があります。併せて、みなさんは私のことを誤解されていて、私がセンタリング、センタリングと上げてもらって高いボールで勝負するのが好きだというイメージを持っていらっしゃるようですが、それは違います。私はグラウンダーのボールで、パスワークでプレーするのが好きなんです」

Q:福岡の現状では、足下のパスよりも、縦に速い、長いボールが入ってくることが多いと思いますが、その中で、どんなプレーを意識しようとされているのでしょうか?
「私が胸トラップを多くしているのは、ご存じたと思いますが、シンプルな考え方として、大きな、長いボールが私のところへ来たら、そこでヘディングでプレーするのではなく、胸トラップをして、まずはボールをキープして、チームに時間を持たせて、周りの押し上げを待つということですね。そういうプレーを意識することで、チームメイトも、私がボールをキープできるんだということを気付いてくれると思うし、それが後方から上がってくるプレーにつながるのではないかと思います。先日の長崎戦では、私がピッチに入った後に、バイタルエリアでボールを受けて、そこからのコンビネーションで、フィニィッシュまで行った形がありましたよね。ああいう形が理想です。もっと数多くやりたいですね」

Q:あの試合では、あれが一番のチャンスでしたね。
「これから、お互いにより知り合っていくことになるので、間違いなく、そういったシーンはどんどん出てくると思います」

Q:守備のところでは、ウェリントン選手がプレスに行っても、なかなか、後ろが付いて来ない状況だと思いますが、その点については、どう考えていますか?
「例えば、昨年との比較で言えば、湘南は前からどんどん行く、90分間、常に前へ、前へ行きますよね。でも福岡は行く時と、行かない時を区別して戦っていますし、もう少し後ろに引いて、がっちりと構えて戦うこともありますから、そこのバランスを、どのように取るのかというテーマも含まれていると思いますね」

Q:プレスに行くスイッチは後ろの選手が入れているのか、それともウェリントン選手が入れているのでしょうか?
「基本的には後ろから指示があります。また私も、試合中は常に周りの選手を見ています。相手のCBがボールを持っているときに、じゃあ、今のタイミングで行った時に仲間は付いて来れるのかを常に見ながらやっています。例えば、相手がディフェンスラインでボールを回している時、マークを確認するために、チームは少しずつ上がり始めますよね、その時に、常にチームメイトの状況は確認していますから、行けると思ったら行きます。要約すれば、後ろからの指示があって、それ加えて、ゲームの状況から判断して行けると思う時は行くということです」

Q:次節は大分との九州ダービーです。ダービーについての重要性や、ダービーだから大切にしなけれはいけないことなどについて、どのように思われているのでしょうか?
「やはり、勝利出来るのだと確信することが大事なのではないでしょうか。昨シーズンの最終戦は大分でしたが、その試合で私も点を決めて勝ちました。その実績は、自分自身に対する自信にはなりますね」

Q:ところで、日本に戻ってこられる決断には、どんな想いがあったのでしょうか?
「日本内外を含めて、多くのオファーがありました。そして、どのような決断をすればいいのかと、妻ともたくさん話をしました。自分はヨーロッパでのプレー経験もありますが、日本でのプレー経験があり、日本のプレー、文化、やり方を知っている状態だったので、日本に行っても上手く行くだろうということで、日本に戻ってくることを決めました。日本が好きですし、ここでプレーすることに喜びを感じているので、いま、ここにいるということです。日本でプレーしたことがある多くのブラジル選手とも、よく話していますが、みんなが日本は素晴らしいところだと言いますし、駄目だというブラジル人選手は1人もいません。ブラジルでは100万人、あるいは、それ以上の選手が日本に行きたいと思っていますよ」

Q:その中で、アビスパに魅力を感じたのは、どんな点でしょうか?
「まずは、これからチームを強くして行こうという大きなプロジェクトが、クラブにあったということ。そして、J1に上がるんだという、みんなのモチベーションというか、目標が明確だったということです。他にも、いろんな要素がからまっての決断ではありましたが、やはり、サポーターも含めて、J1に上がりたいという気持ちがあるというところが一番の理由でした。また、自分自身の事を言えば、昨年の実績として、湘南をJ1に上げたというものがあり、だったら、もう一度、J1昇格を経験したら、いったいどうなるのだろうかという想いもあります。それは、自分の中では大きなモチベーションですね。昨シーズンは、多くのゴールを決めて湘南をJ1に昇格させましたが、もちろん、ゴールも大切ですけれど、まずはチームを昇格させたい、そういう気持ちです。いま、チームはいい順位、いい勝点のところへ付けていて、状況は揃っていると思います。湘南にいた時は、J1に上がるんだ、J1に上がるんだ、J1に上がるんだと、常に言い続けていました。そのことによって、モチベーション的にも高まりますし、当然のように、あらゆる意識がJ1に向かいます。ですから、いまも、必ず上手く行く、必ずJ1に行けると考え続けています。あとは、現実のピッチの上で、それを表現するだけです」

【中倉一志=取材・構成・写真】
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