「football fukuoka」中倉一志

立ち向かっていくだけ(井原監督)

内容:練習後の共同囲み会見
日時:2016年3月9日(水)
場所:雁の巣球技場

◎井原正巳監督;
Q:開幕戦は途中で流れを変え、横浜FM戦では、開幕戦の課題の修正の跡が見られるなど、去年と同じように、少しずつ、少しずつ、積み重ねながら戦っている印象があります。
「去年のベースのところを、しっかりと選手たちが試合の中でやってくれていると思いますし、試合こそ、まだ勝ち切れていませんが、内容的には、いい時間帯もかなりあると思います。あとは、いつ白星を挙げられるかというところですね。それが自信につながると思っていますし、この2試合でも、しっかりと自分たちのサッカーをすれば十分に通用するという手応えは掴んでくれていると思います。毎試合、毎試合、強豪ばかりとの対戦が続きますが、自分たちの時間帯でゴールを狙って、常に勝負に勝つ姿勢を持って続けていれば、必ず結果は付いてくると思うので、それを信じてやりたいと思います。やればやるほど、良い部分、改善された部分も出てくると思いますが、まだまだ、課題も一杯あるので、そこを少しでも良くしていくことが、勝利への道につながるのかなと思います」

Q:マリノス戦では、中村俊輔選手の効果的なパスを、しっかりと弾けていたと思いますが、後半は下がり過ぎての、あのFKだったとも思います。今後は、攻撃の時に、いかに持つかとか、そういったところが課題になるのかなと思います。
「もちろん無失点に抑えられれば素晴らしいことですし、ベストですけれども、J1のレベルだと1失点はやむを得ない部分もあります。事故のような形で入ってしまうこともありますし、マリノス戦は(中村)俊輔の素晴らしいFKでしたが、ああいうゴールを決められてしまうのがJ1です。1戦目の豊田のゴールもそうでしたが、点で合わせてくる、チャンスを逃さないというのがJ1ですし、そこを出させないためには、本当に90分間、集中してやる以外に他はありません。それでも、1失点に留めておけば、自分たちのゲームを続けることで同点、逆転というのも可能ですし、先制点を奪っていれば、十分に試合はやっていけると思うので、無失点にこだわりつつ、攻撃の質を上げていかないといけないですね。守備という点では、マリノス戦は本当に素晴らしかったし、切り替えも良かったし、戦えていたところもあり、評価出来るところはたくさんありますけれども、守っているだけでは勝てないので、同時に、いかに攻撃のところの質を上げていくのかも、勝つためには大事な要素です。J2だと、ああいうふうに、しっかり守っていれば、こちらがチャンスを作れる場面が多くなったりするのですが、J1は試合巧者と言いますか、試合の運び方がJ2とは違いますから、それをなかなか許してくれません。ですから、その辺りを高めていく必要がありますね。マイボールの時に、速攻だけではなくて、自分たちでしっかりとボールを保持する時間というのも増やしていかないと、守備ばかりになってしまうからです。もちろん、早く攻められる時は攻めるし、そうでない時は落ち着かせるし、そういうところの判断をチームとして高めていかなければいけません。でも、総体的には、いい部分もたくさん出てきているので、それが結果につながれば、もっと自信になると思いますし、この2試合でも手応えは掴んでくれていると思うので、それを続けていくことが大切だと思っています」

Q:マイボールの保持ということになると、やはり距離感ということになるのでしょうか?
「もちろん、それても大事になると思います。併せて、J1のレベルでは非常に切り替えが早く、ボールを奪われても、すぐに攻撃から守備に切り替えてプレッシャーをかけてくるので、それをかいくぐるだけのポゼッション能力であったり、カウンターの質であったり、その辺も高めていければと思います。もちろん、そこでリスクをかけてしまって、奪い返されて、そして失点というのは避けなければいけないので、現状では、どうしてもプレーが少しシンプルになっている部分はあるのですが、そこの判断を少しでも上げていくところなのかなとは思いますね」

Q:そういう意味では、リーグ前半戦は日程がタイトな中で、チーム力を上げながらも、目の前の試合で結果を出さなければいけないということですね。
「もちろんそうです。試合をやりながらチーム力は上がっていくものですし、シーズンは、試合をやりながら、課題を修正しながら、そして、いいところは伸ばしていくという繰り返しです。昨年も、そういう中でチーム力が上がっていきました。今年は、メンバー構成が少し変わってきているところもありますが、J1のレベルに少しずつ順応しつつ、もちろん、その中で、全体のレベルが上がっていけばと思っています。そのためにはトレーニングしかないし、それに結果が付いてきて、自信が、より高まっていくということですね」

Q:新加入選手との融合という点ではいかがでしょうか?
「守備陣には、ヒョヌン、實藤、ボムヨンと3人の選手が出ていますが、新しい選手が3人も出ている割には、守備のオーガナイズのところはスムーズに出来ていると思います。ただ、そうは言っても3失点しているので、まだまだですけれども、これからもっと良くなっていくと思いますし、守備はディフェンスラインだけでやるわけではないので、前線からのチームとしての守備というのは継続しながら、少しでも質を上げていきたいと思います」

Q:その中で、ボムヨン選手のプレーぶりについては期待通りでしょうか?
「もちろん、期待はしていますし、日本語を覚えるのも早いですし、早くコミュニケーションを取ろうとする意欲がすごくあり、いつも超前向きなので、さすがは韓国代表だと感じますね。実績のあるGKなので、存在感はより大きくなっていくと思います。シュートブロックのところは、さすがに長身を活かしたプレーを見せてくれますし、クイックネスも非常にあるので、その辺はさすがですね。もっと、もっと連携が高まっていくと思いますし、お互いの信頼関係も高まっていくと思います。ボムヨンに限らず、他のポジションの選手も頑張ってくれていますし、競争をしながら、よりチーム力を上げていければと思います」

Q:次はアウェイの浦和戦です。非常に難しい試合になると思いますが、特に気を付けたいのは、どんな点でしょうか?
「気をつけなければいけないというよりも、あの雰囲気に飲まれないというところでしょうか。ジュビロが、前節は浦和に勝ちましたが、まずは、試合をやる前から負けるなというところですね。自分たちは常にチャレンジャー精神を持って、ハングリーさを常に忘れずに戦うことが大切だと思います。レッズに限らず、どのチームも強いのは同じです。その中でも十分に勝てるチャンスはあるし、ジュビロも勝っているし、我々も、強い気持ちを持って、まずは現地に乗りこんで行くことからが始まりです。あとは、試合の中で、相手を踏まえた戦略、戦術を、どこまで浸透させてやれるかだと思っています」

Q:ジュビロの勝ち方は参考に出来る部分もあるのではないでしょうか?
「常に優勝争いをしているチームですし、あのジュビロが、あそこまで押し込まれるのですから、力があるのは当たり前で、そういうチーム相手に何処までやれるのかというのも、楽しみなところです。どういうふうなやり方で行くのかというのは、ジュビロはジュビロのやり方があるでしょうし、うちはシステムも若干違った形ですから、その辺はしっかりと整理して、うちらしく戦いたいと思っています。とにかく、積極的に、レッズだからと名前負けしないように、気持ちを前面に出して試合に入るようにしたいです」

Q:トップに誰が出てくるかによっても、浦和のイメージは変わってくるのではないかと思います。
「誰が出ても力のある選手が揃っていますし、そもそも構成上、2チーム分あるようなチームですし、我々との対戦の跡にはACLの広州恒大戦も控えているし、でも、前節のホーム開幕戦は負けているので、ホームでの2連敗は絶対に避けなければいけませんから、メンバーは本当に分からないですね。柏戦のようなメンバーで来るのか、ズラタンが最初に来るのか。でも、優勝争いが出来るメンバーが2チーム分いるチームですから、強さに変わりはありません。そんなチームに対して、どこまでやれるのか楽しみではありますね」

Q:初めて埼玉スタジアムに入る選手にとっては、どうしても飲まれがちな雰囲気だと思いますが、そうならないためには、どのような準備をして行く必要があるのでしょうか?
「それがあれば、僕も教えてほしいですね(笑)。でも、どちらかと言えば、向こうにプレッシャーがかかっているでしょうし、こちらは失う物はありませんから、そういう状況が、選手にとっては一番思い切りやれる状況だろうと思いますね。向こうはホームで連敗というわけにはいかないでしょうし、しかも、それがJ2から上がってきたチームが相手という状況の中での試合ですからね。うちは立ち向かっていくしかないし、チャレンジャーなので、思い切っていくしかありません。ですから、気が楽と言えば、気が楽ですよ(笑)」

Q:現役でプレーしていらっしゃった時と、今の浦和では状況も、だいぶ変わってきているのでしょうか?
「もちろんですね。いまは、勝つだけではなく、同時に内容も問われるくらいのチームになっているし、毎シーズン、優勝しかないという状況の中で戦っているわけですから、選手は大変ですよ。しかも過密日程の中で戦わなければいけません。それに比べれば、我々にはACLもないし、そういった余計なことも考えずにJリーグ1本に集中して戦える有利さはあります。それでも強い相手ですが、優勝争いをするチームなので強いのは当たり前だし、今後は、そういうチームとばかり当たっていくので、我々は、そこに勝っていくしかありません。試合をやる以上、勝つという気持ちは大前提で、どんな相手と対戦しても、同じような気持ちで立ち向かっていかないと絶対に勝てないと思うし、まずはそこが原点だと思います。ハングリーさを持って、常に、そういう想いで試合に入れば、たいしたプレッシャーを感じずにやれるのではないかと思います。プレーオフもそうでしたからね」

Q:勝つチャンスがあると仰っていましたが、どの辺にポイントがあるとお考えですか?
「あまり言いたくないんですけれど(笑)。前節のマリノスは守備のチームですけれども、浦和は、より攻撃的なチームなので攻めてきますから、そこでしっかりと凌げば、チャンスは間違いなくあると思っていますし、マリノスとのゲームよりはチャンスが作れるのではないかなと思います」

【中倉一志=取材・構成・写真】
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