「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【高円宮杯U-18プレミアリーグ参入戦第1回戦・JFAアカデミー福島-アビスパ福岡U-18 レポート】

高円宮杯U18サッカーリーグ2016 プレミアリーグ参入戦1回戦
日時:2016年12月16日(金)13:30
会場:呉市総合スポーツセンター陸上競技場/350人
結果:JFAアカデミー福島 1-3 アビスパ福岡U-18
得点:[福岡]宮内(5分)、[福島]延(44分)、[福岡]本田(55分)、稗田(64分)

「このチームは3年生は、中学校1年生の時から、ずっと一緒にやってきた。初めて、U-15のメンバー全員がU-18に昇格した年代でもあり、いろいろと思うところが一番ある仲間だと思っている。ここで集大成として、後輩に置き土産を残していきたいという気持ちが一番強い」
宮内真輝選手の言葉はチームメイトの総意。誰もが、仲間のために、後輩のために、そして支えてくれる人たちのためにボールを追った。粘り強く守り、思い切ってゴールを目指し、そして、最後まで足を止めなかった。そして手に入れた勝利。アビスパ福岡U-18は、目標であるプレミアリーグ参入まで、あと1勝と迫った。

最高の立ち上がりだった。時間は5分。宮内選手が、稗田圭吾選手のCKにジャンプ一番、どんぴしゃりのタイミングで合わせたヘディングシュートがゴールネットを揺らす。そして、高いテクニックでボールを回すJFA福島(以下、福島)に対し、連動した守備で対抗する。コンパクトな守備ブロックを作って相手を待ち受け、ここぞというところでボールホルダーにプレッシャーをかけると、それに連動して2人、3人と寄せてボールを絡め取る。共に過ごした6年間の想いが、ひとつ、ひとつのプレーに現れる。

それでも福島は強敵だ。ボールを支配し、細かく回しながらアビスパU-18(以下、アビスパ)の守備ブロックを崩しにかかる。その中心にいるのは服部遼太郎選手。最終ラインからボールを引き出し、アビスパの守備ブロックの間に縦パスを通してチャンスを窺う。少しずつ、少しずつ、下がっていくアビスパの守備ブロック。しかし、それでも、アビスパは最後の砦は譲らない。受け手に対して強く当たって、1対1の局面では決して負けず。福島にチャンスを与えない。

だが、このまま前半が終わるかと思われた44分。アビスパをアクシデントが襲う。延祐太選手(福島)が放ったシュートがGK佐藤幹太選手のファンブルを誘い、そのボールが、そのままゴールへ吸い込まれた。前半は1-1。勝負は後半に持ち越された。

想いもよらない失点で迎えたハーフタイム。だが、小倉裕介監督は選手たちに穏やかに話しかける。「やり方は間違っていない。劣勢になったとしても、自分たちから崩れなければ絶対にやられない。攻撃のところは、守備から攻撃に切り替わった時のミスが多い。その精度を上げることが問題」。そして、選手たちも慌ててはいなかった。「まずは、しっかりと守備のブロックを作って守ること。ボールを奪った時は、しっかりと全員でボールに向かって上げようと話していた」(崎村)。そして後半、アビスパの力が爆発する。

ボールを支配するのは依然として福島。しかし、決して福島のペースではない。前線のチェイシングと連動する守備組織で相手のドリブルや、パスコースを限定し、そこから連動した守備でボールを奪う。こぼれたボールは全員でサポートしながらカバー。特に、中盤でボールを拾い、仲間に配る川北翔正太朗選手の動きが目立つ。守備のリズムができれば、攻撃にもリズムが生まれるもの。奪った瞬間にスイッチを入れて縦に仕掛ける場面が増えていく。試合をコントロールしていたのは間違いなくアビスパだった。

そして55分。アビスパに勝ち越しゴールが生まれる。決めたのは本田聖選手。クロスボールに合わせたシュートは、一度はGKに弾かれたが、そのこほれ球に右足を躊躇なく振り抜いた。「よっしゃー、来たという感じ。前半、自分のプレーでボールをボールを失う場面が多かったので決められて良かった」と得点シーンを振り返る。その本田に続いたのは稗田選手。「(佐藤)幹太に失点の責任を追わすわけにはいかない」(稗田)。そんな想いで振り抜いた右足から放たれたボールが、鮮やかなカーブを描いてゴールネットに吸い込まれた。その後もゲームをコントロールするアビスパは、危なげなく試合を進め、3-1で福島を下した。

印象的だったのは連動した守備。決して引いて守っているわけではない。相手の攻撃を自分たちでコントロールし、ファーストディフェンダーのプレスを合図に絡め取る守備は、高い個の能力を有する福島にもチャンスを与えなかった、後半に許したシュートは、わずかに1本。振り返れば、思い通りの展開だった。

そして18日、アビスパはプレミアリーグ参入をかけて、今シーズン最後の戦いに挑む。
「この1年間、結果が出ない時もあったが、最終的にはプレミア参入というのが目標だったので、自分たちが積み上げて来たものや、やってきたものをすべて出して、最後は笑って追われるようにしたい」(崎村)
U-15時代から仲間とともに積み重ねてきた6年間。その集大成となる試合は、18日、広島広域公園第一球技場で13:30にキックオフされる。

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