「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【中倉’s Voice】新年の挨拶に代えて。大きなプロジェクトを成功に導くための次なるチャレンジが始まる

新年明けましておめでとうございます。
昨年は多くの方に「football fukuoka」をご購読いただき大変ありがとうございました。本年も、よろしくお願いします。

さて、2020年は大改革の年でした。7社会が中心になって支えた20年間と、APAMAN株式会社が経営に参画してからの5年間を振り返り、その反省の下に大改革に着手したのは、誤解を恐れずに言えば、何度も同じことを繰り返してきた過去との決別を意味するものでした。「感動と勝ちにこだわる」という将来にわたって変わらぬスローガンを設定したのも、アビスパスタイルを求める活動も、すべてはその一環。その上に2020年の成功がありました。

ただ、その成功もアビスパ福岡の大改革の一部にしかすぎません。アビスパの目標はJ1に復帰することではなく、J1に定着し、J1の上位で戦えるクラブになり、ひいては優勝を争い、そしてアジアへ、世界へと出ていくこと。2020年の目標としてJ1昇格を掲げたのは、その壮大なプロジェクトの第一歩を踏み出すためのもので、プロジェクトのスタートラインに立つために必要なものでした。その戦いに、クラブは強い覚悟を持って臨んだ1年でもありました。

そんな中で世界中を襲った新型コロナウイルスの脅威。その影響はアビスパにも及びました。新しい戦術を理解しかけていたところでの中断は、また1から積み上げなければいけないことを意味し、1カ月でフィジカルも、メンタルも、戦う状態に仕上げなければないことによる負荷は想像以上に大きく、序盤は新しいアビスパを表現しきれない日々が続きました。それでも大改革のスタートのためにはJ1昇格を果たさなければならない。そのプレッシャーは相当なものだったはずです。

それでも、フロント、クラブ職員、監督、現場スタッフ、そして選手たちは、自分たちが置かれた状況に惑わされることなく前だけを見て進みました。目線をぶらさず、責任と重圧に負けることなく、一つになって、それぞれが、それぞれの立場でやるべきことを、一つずつ積み上げてきました。J1昇格を決めた愛媛戦後の会見で、前寛之は「この日のためにやってきた。それが報われて嬉しい」と口にしましたが、大きなプレッシャーを跳ね除けて果たした素晴らしいJ1昇格でした。

そして、来シーズンからは大きなプロジェクトのスタートであるJ1の舞台での戦いが始まります。当面の目標はJ1に定着すること。そのために中位を目指すチャレンジが始まります。それは簡単な戦いではありません。過去、J1に昇格した大半のクラブがJ1に定着できていないという現実が、それを物語っています。けれど、それも大きなプロジェクトを成功に導くためのひとつの過程。全員の力でやり遂げなければなりません。

「昨年口にした大改革はまだ道半ばです。5年周期はもう終わりにしませんか。ずっとJ1で戦いましょう。2度目の昇格です。同じ轍は踏みません。J1リーグで中位を目指せるように、チームをしっかりとサポートします。みなさんも一緒に戦ってください」

これは最終戦セレモニーでの川森敬史代表取締役の言葉です。そして、クラブの力とは、フロント、クラブ職員、ファン、サポーター、地元メディア、そしてアビスパに関わるすべての人たちの力の総和です。改革途中のクラブには、まだまだ解決しなければいけないことはたくさんありますが、誰かに頼るのではなく、誰かのせいにするのでもなく、一人ひとりが当事者意識を持ち、それぞれの立場で、それぞれの方法で、それぞれの責任と役割を果たすこと。それが次のステップへとつながります。

2020年以上の素晴らしいシーズンにできるように、みんなの力を合わせて、ともに前だけを向いて進んでいきたいと思っています。その先に必ずアビスパの素晴らしい未来が待っているはずです。本年もよろしくお願いします。

2021年1月1日 株式会社オフィスイレブン 代表取締役 中倉一志
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