西部謙司 フットボール・ラボ

【J1第17節分析レポート/後編】FC東京vs横浜FMの矛盾対決で光った永井の特殊能力/アルゼンチンリーグのようだったガンバ大阪の陣容/後半戦の鍵を握るのは大分とセレッソ大阪!?(無料公開)

毎週、火曜日(または水曜日)にお届けするJリーグ戦術分析。今週は、6/2930に行われたJ117節の分析レポートをお届け。神戸vs名古屋の壮絶な打ち合い、FC東京vs横浜FMの首位攻防戦、つかみどころのない不気味なサッカーで後半戦の鍵を握りそうな大分とC大阪、大ベテラン+売り出し中の若手という編成がアルゼンチンリーグのようだったG大阪など、まとめておさらいします。

今回はサイトオープンを記念して特別に前編・後編に分けて後編を無料公開します。

■立ち位置でズレを作る横浜FMと不動の4-4-2で迎え撃ったFC東京の首位決戦は典型的な矛盾対決に

FC東京と横浜F・マリノスの首位攻防戦は典型的な矛盾対決。攻める横浜、守ってカウンターの東京。東京は得意のカウンターアタックが炸裂し、終わってみれば4-2の快勝でした。

横浜は例の偽サイドバックも含めて立ち位置のズレを作り、ボールを支配して攻め込みます。東京も動じることなく4-4-2のゾーンディフェンス、迷いがありません。

横浜はマルコス・ジュニオールが先制。仲川輝人が右サイドを突破してGKとDFの間に低いクロスをマルコス・ジュニオールが押し込むという十八番の形でした。しかし、直後にナ・サンホのカットインからのシュートをGK朴一圭が手に当てながらゴールイン。ちょっとブラインドになっていました。

東京の勝ち越しは38分の永井謙佑のスプリント能力から。カウンターの流れで一気に長い距離を走って裏へとび出した永井、浮き球をファーストタッチで収め、追走するDFから体でボールを隠しながらのループシュート。スピード、コントロール、アイデアの三拍子揃った見事な得点でした。

後半には永井のクロスからディエゴ・オリヴェイラのヘディングシュートで3-1、さらに裏抜けした永井のシュートをGKが弾いたところをDオリヴェイラが決めて4-1。横浜も仲川が1点返しますがタイムアップ。永井、Dオリヴェイラの2トップが猛威をふるった東京が横浜との差を6ポイントに広げています。

■あらゆるスタッツが低いのにシュート決定率だけが高い大分の異質なサッカー

サガン鳥栖は引退発表のフェルナンド・トーレスがヘディング2発決めて清水エスパルスに4-2。川崎フロンターレに1-3で敗れたジュビロ磐田は、名波浩監督が辞任を表明しております。残留争いがざわざわしてまいりました。

大分トリニータは浦和レッズに2-0。小塚和季、オンステージという感じ。セレッソ大阪がひたひたと来ています、湘南ベルマーレにアウェイで2-0勝利。大分とC大阪は、後半戦のカギを握るチームになりそうな気がします。どちらもわかりにくいチームといいますか、大分なんかあらゆるスタッツが低いのにシュート決定率だけが高く、異質なサッカーをしています。C大阪もつかみどころがない。上にも下にも行く可能性がありそうなので、全体の順位変動に影響してくるのではないかと。

鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島は2-2。柏好文が大活躍。松本山雅vsガンバ大阪はG大阪が3-1の快勝。いろいろ布陣とメンバーが変わっているG大阪ですが、この試合は遠藤保仁がピボーテ、倉田秋、矢島慎也がインテリオールの構成。全体は3-5-2です。遠藤が相変わらずやたら落ち着いているのと、若手の中村敬斗、食野亮太郎がドリブルで仕掛けまくっていくのが対照的で、大ベテラン+売り出し中の若手という編成がアルゼンチンリーグみたいでした。

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