西部謙司 フットボール・ラボ

【Jクラブ戦術フォーカス/サンフレッチェ広島】いまJリーグで最も完成度の高いスタイル。ミシャ式から城福式へと進化した3-4-2-1の優れた機能性とは?

洗練されたスタイルで好調を続けているサンフレッチェ広島。チームを見事に進化させた城福監督の緻密な設計図を読み解いていく。

ミシャ式の弱点に城福監督が出した答え。守備だけでなく攻撃でも洗練されたスタイル 

25試合で18失点はJ1最少です。さらにここ11戦で6勝5分の無敗。サンフレッチェ広島が好調です。

広島は94年のファーストステージで初優勝、このときはスチュワート・バクスター監督が率いていて、日本で初めてフラット型の4-4-2を機能させたチームでした。当時の中心選手だった風間八宏、森保一、高木琢也、松田浩、片野坂知宏は現在指導者として活躍していますが、志向するサッカーが見事なぐらいバラバラ(笑)。風間監督はバクスター方式のアンチ・テーゼですし、森保監督と片野坂監督はミハイロ・ペトロヴィッチ監督からの影響のほうが大きい。松田さんはバクスターの継承者という感じですが、高木監督はどれでもない。

現在の広島は城福浩監督の下、かつてのミシャ式に戻った感じはあります。ただ、ミシャ式そのものかというとそうでもなく城福式なのかもしれません。

以前も取り上げましたが(浦和と広島で「ミシャ式」が復活した要因)、ミシャ式の弱点は攻守のトランジションでした。ミシャ監督が率いる札幌をはじめ、大分、そして広島も弱点のトランジションに回答を得たことで3-4-2-1を機能させています。

広島の失点が少ないのは、3バック自体の強さもあります。GK大迫敬介の成長も大きい。とはいえ、やはり全体の機能性が非常に整理されている。現時点で最も完成度の高いスタイルを持つチームといえるかと思います。

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