西部謙司 フットボール・ラボ

【Jクラブ戦術フォーカス/川崎フロンターレ】完成度の高いチームが陥ったジレンマ。王者はなぜシーズンを通して「決定版」を出せなかったのか?

一定以上のクオリティを見せながらも、昨季のような強さを発揮できていない川崎フロンターレ。過渡期にある王者は、なぜ停滞してしまったのか? 少し早いが今季ここまでの戦いを総括する。

終わりかけている1つのサイクル。今季のポイントは「補強」にあった

3連覇を狙う川崎フロンターレですが、第29節時点では6位。首位の鹿島アントラーズとは8ポイントの差があります。残り5試合ですから、逆転優勝はかなり難しくなっています。

ドローが12試合ありますが、これはJ1で最多です。負け数は5試合、鹿島と並んでリーグ最少。負けないけれども勝ちきれない。得失点差はリーグ3位なので、攻守のバランスも悪くないはずです。看板のパスワークも健在。しかし、何かが足りない。

昨季の連覇の段階で、川崎はすでに完成されたチームでした。風間八宏前監督が植え付けた技術と攻撃力に、鬼木達監督が守備力を加えていました。選手のクオリティも文句なし。今季のポイントは補強だったのではないかと思います。

よくチームには「サイクル」があると言われます。川崎も1つのサイクルが終わりかけていて、移行の時期と言っていいでしょう。

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