【Jクラブ戦術フォーカス/松本山雅】松本山雅がいま最も応援しがいのあるチームと言える理由。守備の時間は長くても見る者を魅了するカタルシスとは?
ロースコアの試合が多くても、守る展開が続いても、松本山雅のサッカーは見る者の心を熱くする。ただ「頑張る」「泥臭い」だけではない。理にかなったサッカーがそこにはある。
非常によくまとまっていて機能性の高いプレースタイル
第30節時点で17位。しかし、16位の湘南ベルマーレとは1ポイント差、15位サガン鳥栖と2ポイント、14位名古屋グランパスでも3ポイント差です。J2降格圏脱出の可能性は十分あります。ここ4試合は1勝3分で負けがないのは好材料ですね。
松本山雅は失点が少なく、少なさではリーグ7番目です。そのかわり得点も少なくて、こちらは最少の19得点。ですから基本的にロースコアの試合になります。たくさんゴールシーンが見たいという人にはお勧めできないチームですが、非常によくまとまっていて機能性の高いプレースタイルになっています。
守備をしている時間は長い。ただ、守備の組織力や上手さは見応えがあり、回数は少なめでもカウンターアタックは鮮やかです。感情移入すると、すごく応援しがいのあるチームかもしれません。だいたい接戦だからです。しかも負けそう。アニメのヒーローが困難に遭いながら、最後に必殺技炸裂で敵を倒すカタルシスに似ています。
このところは3-4-2-1システムではなく3-5-2、というより5-3-2ですね。
GKは不動の守田達弥、日本人GKとしては191センチとサイズにも恵まれています。3バックもほぼ不変、右から橋内優也、飯田真輝、水本裕貴。この3枚は「壁」です。守備をする場所が深いので、ビルドアップより跳ね返し要員になっていますが、跳ね返す力は強いです。
ウイングバックは右に岩上祐三、左に高橋諒が定着しています。MF中央の3人はセンターに藤田息吹、右にパウリーニョ、左に杉本太郎がファーストチョイスでしょうか。ただ、とんでもなく運動量を求められるポジションなので、だいたい交代があります。
2トップは永井龍、セルジーニョに落ち着いた感があります。開幕当初からは選手も入れ替わっていますが、最終的に永井がターゲットマンとして機能するようになりました。
マラソンとスプリントを融合したサッカーで藤田息吹が示す凄さ
松本山雅のプレーのリズムは基本的にマラソンです。
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