西部謙司 フットボール・ラボ

【どこよりも深い韓国戦の敗因分析】完敗したのは、「Jリーグ選抜だから」ではない。明らかな作戦ミスと試合中にプラン変更できない日本代表の本質的な問題

完敗したので批判が起きるのは当然だが、本質を見誤ってはならない。指揮官は確かにミスを犯したが、日本代表が同じような負け方を繰り返していることも根深い問題だ。病巣はどこにあるのか? 現地で取材した西部謙司が冷静かつ本質的に敗因を分析した。

作戦のところでまず負けていた日本代表。チグハグだった人選と戦術

E-1最後の韓国戦は0ー1とはいえ内容的には完敗でした。前半がどうにもなりませんでしたね。ロングボール、ハイプレス、セットプレーという韓国の戦い方に呑み込まれてしまった感じでした。中国戦、香港戦で大きな不具合なく機能していた3ー4ー2ー1がどうこうというより、作戦のところでまず負けていて、それを跳ね返す実力もなかったということです。

焦点は日本が韓国のハイプレスを外せるかどうかでした。もし、上手く外せていれば自動的にカウンターアタックができます。スローダウンを余儀なくされても押し込める。押し込んでしまえば、今度は韓国が日本のプレスを外せるかが問題になる。

ロングボールを跳ね返すことはできていました。なので、拾えたボールをしっかりつなぐなり、ドリブルでかわすなりして、韓国のハイプレスを外せればよかったのですが、引っ掛かってしまうことが多かった。そのうちに相手の圧力を感じて単純なミスも連発。韓国のペースに傾いていきました。

 後半途中から大島僚太が入ってボールを運べるようになります。韓国の運動量が落ちてくる60分すぎですから、この時間帯を狙っての投入だと思います。ここからは運んでサイドに起点を作り、そのまま相馬勇紀がドリブルで突破するか、ニアゾーンを森島司がつくという形が見えてきました。

プランAをゴリ押しして墓穴を掘った日本代表。そもそも戦術的にJリーグの持っている力すら反映できなかった……

ウイングバックの縦突破からのハイクロスは、Jの3ー4ー2ー1でも1つの攻め手になっています。北海道コンサドーレ札幌の白井康介が代表的ですね。縦への突破によって、相手のディフェンスラインが動きますから、単純なハイクロスでもそれなりの効果があります。ただ、縦にスプリントしてからのクロスボールは、けっこう決めうちなんですね。

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