【戦術考察】ヴィッセル神戸が見せたバルサ化の神髄。「潔く諦める攻撃」でいかに鹿島の狙いを巧みに無力化したか?
天皇杯決勝で優勝を飾ったヴィッセル神戸。バルサ化の片りんをのぞかせつつ、前半鹿島を圧倒した戦い方は見事だった。その要因を3つの視点で解説する。
前半、神戸が圧倒的に優勢だった理由は3つある
新国立競技場で行われた天皇杯決勝はヴィッセル神戸が2-0で鹿島アントラーズを下して初優勝。新国立はさんざんな前評判でしたが、けっこう見やすかったですよ。あれで陸上トラックがなければねえ。木がたくさん使われていて、無印良品みたいな雰囲気のスタジアムでした。
試合は前半が神戸、後半は鹿島が優勢。前半に2点とった神戸の逃げ切りでした。サッカーではわりとあることではありますが、前後半であそこまで違っていた理由について考えてみたいと思います。
まず前半。神戸が優勢だった理由は3つあったと思います。
1 諦める攻撃
2 イニエスタ
3 大﨑玲央
5分ぐらいで神戸のペースになっていました。鹿島の大岩剛監督は、前半が上手くいかなかった要因として「噛み合わせ」をあげています。
「システムのミスマッチがありました。ミドルゾーンでプレスしてコンパクトにする意図があったのですが、後ろが重くなって連動性が欠けてしまった」(大岩監督)
前半のマッチアップを図にしてみました(図1)。
赤が神戸、白が鹿島です。神戸は3-4-2-1、鹿島は4-4-2です。大岩監督の言う「ミスマッチ」の状態です。ここから鹿島がどう守ろうとしていたかを見ていきましょう。
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