いま、そこにある現実。Jリーグの無観客試合を考える【緊急コラム無料公開】
4月3日の再開を目指していたJリーグだが、各地で新型コロナウイルス感染者が拡大傾向にあるなかで、4月中の開催すら見通せない状況になっている。
海外での感染拡大を受け、帰国する日本人の増加に伴う感染リスクも懸念されており、23日付けの日経電子版の記事は「第1波の中国・武漢からの感染者数とは桁外れの感染者が今後、入国してくる」と報じている。
もはやチェアマンが避けたいと言っていたあのシナリオが現実味を帯びてきているのではないだろうか。いま我々はどういった現実を受け入れなければならないのか。特別コラムを無料公開します。
長期戦必至のウイルスとの戦い。もはや無観客以外の選択肢はないのではないか
「将来、サッカーはガラガラのスタンドで行われ、ファンはテレビで試合を見ることになるだろう」
確か、サンチャゴ・ベルナベウ(レアル・マドリーの伝説的会長)の言葉です。これまで、その予言は的中していませんでした。しかし、これからそうなるのかもしれません。
Jリーグの再開は予定していた4月3日ではまず無理でしょう。ゴールデンウイークに再開できればと思いましたが、たぶんそれも全く無理なんだと思います。サッカーと野球は無観客試合に踏み切らざるをえないのではないかという考えに至りました。
新型コロナウイルスの感染者の8割ぐらいは無症状か軽症に終わっているようです。5%が重症化し、1%が死亡といわれています。そして、国民の70%ぐらいが感染してしまえば集団免疫が獲得され、大規模な拡散は抑えられる。英国は集団免疫獲得作戦のようですし、ヨーロッパはもう感染を抑え込むのは無理なので大方この策。日本も同じなのだと思います。
ああ、そうか。7割が罹患しちゃえばいいのか。そのように思っていました。しかし、ちょっと考えると大変なことと気づきました。
1億2000万人の70%って、8400万人ですよね。で、このうち1%が死亡すると死者数は84万人になるわけです。84万人ですよ! しかも、これは医療崩壊しない前提の話。医療崩壊してしまうと5%の重症者がほぼそのまま死者数になってしまう…凄い数です。だから何としても医療崩壊を防がねばならないわけです。医療崩壊が起こるのは、人工呼吸器の数を重症者が上回ったときになると思われます。
では、医療崩壊を起こさせず、国民の70%が感染するまでにどのぐらいの時間がかかるのか。これは私が計算したわけではなく、ネット上で書いてあったことなのですが、36カ月だそうです。3年です。何となくもっと早く、数カ月で収束するものと思っていましたが、日本にある人工呼吸器の数から計算するとそうなるそうです。
もちろん、これは感染爆発を封じながらの3年ですから、ほぼ現在の自粛状況を続けながらですね。
Jリーグを3年間凍結できるわけがありません。潰れますよ。ワクチンや治療薬ができれば期間は短縮できるのでしょうけど、それでも1年以上はかかるといわれています。
もうこの状況では、無観客試合しかないのではないでしょうか。
無観客試合などやりたくはないでしょうが、まずはDAZNを生かしたほうがいい。そして放映権料でリーグ運営するほかないのではないかと。自粛自粛で娯楽がない状況ですから、映像でも試合に飢えているファンは多いと思います。
お客さん入れても大丈夫そうな地方都市なら観客入れてやればいいし、半分ぐらいのキャパでやってもいいでしょう。ただ、大都市圏は無理だと思います。感染爆発の爆心地になったら、もうしばらくリーグはできないでしょう。
先日、鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌の練習試合を無観客でやり、DAZNで中継していました。けっこう迫力もあって、無観客といえども放送する価値は十分にあったと思います。
ウイルスとの戦いは長期戦が予想されます。まずは無観客からスタートすることを検討すべきではないか、というより他に選択肢はないように思いますがどうなんでしょうか。