西部謙司 フットボール・ラボ

鹿島の歯車はなぜ回り始めたのか? デメリットばかりだった新戦術の熟成と“規格外”の武器【Jラボ】

ハイプレスの鹿島と堅牢なゾーンディフェンスのセレッソという対照的な守備戦術をとる両チームの対決は鹿島が制した。その差異はどこにあったのか? 想定外の“存在”が明暗を分けたともいえるが、常勝軍団が上昇気流に乗り始めたのは決して偶然ではない。

穴を開けないC大阪と鹿島のハイプレスという高度な攻防 

17節、セレッソ大阪vs鹿島アントラーズは見応えのある試合でした。2-1で勝った鹿島が6連勝を記録しています。

どちらも4-4-2、ゴールキックからでもパスをつないでいくビルドアップも同じ、ただ守備のやり方は対照的です。

C大阪はゾーンをしっかり埋めて、ボールホルダーに対してはさほど強いプレッシャーをかけません。飛び込んでかわされることがほとんどない。そのかわり、相手を引き込む守り方になりますが、CBが外へつり出されないのでゴール前の守備は固いです。

鹿島は高い位置から積極的にプレスして、なるべく高い位置でボールを奪おうとします。SBの守備位置が高くなることも多く、そのときはCBがサイドのスペースをカバーするのでゴール前は薄くなることもあります。

もちろんC大阪がハイプレスすることも、鹿島が引いて固めることもありますが、守備の基調となる考え方は対照的といっていいでしょう。

セレッソの守備を苦しめた鹿島の“規格外”。デメリットばかりだった新戦術が機能し始めて常勝軍団の本領発揮

試合全体としては、鹿島の守備がよく機能していました。先制点もハイプレスで奪ったところから始まっていますし、C大阪はボールを敵陣まで運べない流れが続いていました。

(残り 1622文字/全文: 2286文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ