西部謙司 フットボール・ラボ

マリノスの「凄さ」は選手の能力に依存しないスタイルとそれを自ら破る勇気にある【月刊「横浜FM」vol.4】

西部謙司のフットボールラボでは、これまでのレギュラーコンテンツにプラスして、毎月1つのクラブを重点的に取り上げて週1回程度のペース(月4回程度)で特集していきます。題して「マンスリー・クラブ・フォーカス(MCF)」。10月は横浜F・マリノスを大特集です。特集第4回目は名古屋グランパス戦を総括。メンバーを大幅入れ替えても相手を圧倒できた理由と「型」を破り進化を遂げているマリノスのサッカーの未来を占います。

また決勝点を演出した小池龍太の巧みなラストパスについても解説します。

大きかった名古屋戦の勝利 

今週も週2試合の横浜FM、変則開催の第33節(名古屋グランパス戦)は何と連戦20試合目とか。なかなか順位が上がらない昨季王者ですが、一番の敵は日程なんでしょうね。

プレー強度が特徴のサッカーなので、疲労の蓄積はけっこう響くはずです。メンバーを入れ替えながら戦っていますが、それもまた安定感という意味ではどうなのかという問題も出てくるでしょう。

そういう意味では、名古屋に勝ったのは大きかったと思います。メンバー的には第23節のセレッソ大阪戦がベストなのでしょう。しかし、この試合を1-4で落としてしまいました。ピーク時のテンポのいいパスワークが見られず、けっこうミスも多かった。ちょっと疲労が出ていたように感じました。

しかし、メンバーを入れ替えて臨んだ名古屋戦はプレー強度もあり、それが勝因になっていました。横浜FMのパスワークのテンポに名古屋の守備が後手になっていて、奪うのにかなり苦労していましたからね。名古屋もカウンターからチャンスはあったのですが、全体の流れは横浜FMでした。

選手の能力に依存しないのがマリノスのサッカーの凄いところだが、それでも完成した「型」をあえて崩してでも進化しようとするサッカーの未来像にわくわくする 

41分の先制点は、横浜FMの十八番のアプローチでした。左の松田詠太郎からのロークロスをエジガル・ジュニオがゲットしています。

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