西部謙司 フットボール・ラボ

2020年のJ1を振り返るvol.1「欧州のトレンドを先取りした後方からのビルドアップ」

いよいよシーズンも佳境というタイミングで恐れ入りますが、ひとあし早く今季の総括を始めたいと思います。今回のテーマは「ビルドアップ」。欧州のトレンドを先取りしているとも言えるJクラブ全体に浸透する後方からのビルドアップへの取り組み。クラブによってアプローチの仕方はどう違うのか? どのように変化していっているのか考察しました。

ビルドアップで台頭した若手GKと変化に適応したベテランGK 

まだシーズンが終わってないのですが、戦術的傾向で見えているところからまとめていきたいと思います。

まず、昨季からの傾向として後方からのビルドアップはより浸透していました。GKも含めて自陣深くからのビルドアップは、もはやJ1では標準装備された感があります。ゴールキックのルールが変わった影響も大きいと思いますが、GKがロングボールを蹴るケースは以前と比べると激減したのではないでしょうか。

もちろん「つなぐ」と「蹴る」はセットなので、つなぐチームにはつなげて蹴れるGKが必要になります。なぜ、「蹴る」が必要かといえば、わかりやすくいえば相手がフィールドプレーヤー10人にマンマークしてきたら、トップに蹴って1対1に勝てばあとはGKだけですから「蹴る」が正解になります。

昨季は大分トリニータの高木駿がショートパスのつなぎとロングパスを組み合わせた典型でしたが、多くのチームでビルドアップに適したGKを起用していました。大分はムン・キョンゴンも足下のレベルが素晴らしく、早くからビルドアップを大事にしてきたチームらしく、この分野でハイレベルのGKが2人いたわけです。

ビルドアップ重視になって、若手GKの台頭がありました。

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