現役GMが教えるJクラブ経営のリアルな見方(J論)

西部謙司 フットボール・ラボ

【西部謙司の移籍通信簿】浦和のファンは監督の信じるものを信じなければいけない。大分の顔になれる町田也真人。世界でも類を見ないプレースタイルを築く札幌の荒野拓馬はなぜ楽しそうにハードワークするのか?

J1クラブの移籍動向を徹底査定。今回は浦和レッズ、大分トリニータ、北海道コンサドーレ札幌の補強査定と今季のキーマンをピックアップしました。

<今回の見出し>

浦和レッズ;「浦和的なもの」がロドリゲス監督の障壁になる可能性あり。浦和のファンは監督の信じるものを信じなければいけない

大分トリニータ:3バックの再構築が急務に。注目選手は捌けるMF長谷川雄志、大分の顔になれる可能性を秘めた町田也真人

■北海道コンサドーレ札幌:昨季の驚きのマンツーマン守備はぜひ継続を。面白い選手が多い札幌の中でも世界で類を見ないプレースタイルを築く荒野拓馬はなぜ超重労働なのに楽しそうにプレーするのか?

 浦和レッズ;「浦和的なもの」がロドリゲス監督の障壁になる可能性あり。浦和のファンは監督の信じるものを信じなければいけない

昨季10位の浦和レッズはリカルド・ロドリゲスを新監督に迎えています。戦術的な変化は間違いないので、それがどうなるかが焦点ですね。

補強は意欲的だと思います。エヴェルトン、青木拓矢、長澤和輝のレギュラークラスのボランチが移籍して、獲得したのは明本考浩、金子大毅。若返りました。右サイドは西大伍と田中達也を補強、マルティノスの穴は埋まりそうです。

戦術は変わりますが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代の選手も残っているので、わりと馴染むのは早いかもしれませんね。ミシャ→ロドリゲスだったらスムーズだったと思いますが、間に数年挟んでいるのがどうなるか。

ロドリゲス監督にとって障壁になりそうなのは「浦和的なもの」ではないかと思います。日本リーグの三菱時代からの名門のプライド、スター選手の存在、J1もアジアも制した過去の栄光などが、変革にプレッシャーをかけてくるかもしれません。ただ、浦和はすでに鼻を折られているので、勝っているかぎりは大丈夫じゃないかと思いますけどね。

横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督や北海道コンサドーレ札幌のミシャ監督もそうですが、彼らは自分のスタイルに信念があります。それはこれで勝てるとか優勝できるというものではなくて、これが良いサッカーなんだという自負です。だから勝敗にかかわらず基本的にスタンスは変えません。ですので、ファンは監督の信ずるものを信じなければいけない。しかし、万人を納得させられるサッカーなんてありませんから、結果が出ないといろいろ言われる。そのプレッシャーを受けて結果で黙らせられなければ浦和の監督は務まらないというプレッシャーまで加わるので厄介です。ただまあ、繰り返しますが浦和はすでに鼻を折られていますから、ロドリゲス監督にとっては追い風でしょう。

大分トリニータ:3バックの再構築が急務に。注目選手は捌けるMF長谷川雄志、大分の顔になれる町田也真人 

鈴木義宣の移籍(清水エスパルス)は衝撃でした。33試合に先発した守備の重鎮ですからね。しかも上位クラブならともかく、下位の清水への移籍はショックでしょう。岩田智輝も横浜FMへ。坂圭祐を湘南ベルマーレから獲得しましたが、3バックの再構築は急務になります。

ただし、長沢駿をベガルタ仙台から獲得し、川崎フロンターレから下田北斗を補強。坂もそうですが即戦力は獲れたので、DFが整えば全体に大きなマイナスにはなりません。田中達也の移籍(浦和)は痛手ですが、渡邊新太(アルビレックス新潟から獲得)を補強していますから攻撃は問題なさそう。とにかく守備、というかDFですね。

注目選手としては長谷川雄志をあげます。両足を使えて、広角にパスを捌いていくMFです。シャドーでプレーする町田也真人も攻撃にアクセントをつけられる、違いを作れる選手です。怪我なくシーズンを過ごせれば大分の顔になれると思います。

北海道コンサドーレ札幌:昨季の驚きのマンツーマン守備はぜひ継続を。面白い選手が多い札幌の中でも世界で類を見ないプレースタイルを築く荒野拓馬はなぜ超重労働なのに楽しそうにプレーするのか? 

大きな変化はなさそう。進藤亮佑の移籍(セレッソ大阪)は意外でしたが、昨季は18試合しか出場していない。白井康介(京都サンガへ移籍)もルーカス・フェルナンデスの控えという位置づけでした。層は薄くなりますが戦力ダウンまではいかないでしょう。

新加入の注目はガブリエルでしょうか。188㎝、ナイジェリア代表歴のあるFW。見たことないので何ともいえませんが、迫力はありそうです。札幌の外国籍アタッカーはチャナティップを除くと大きい人が多いですね。

昨季はマンツーマンの守備に驚かされました。リスクもある守り方ですが、ハマったときは川崎にも勝ちましたからね。あれを今季も続けるのかどうか。個人的にはやってほしいです。昨季ほど過密日程でもないし、2年目ということで機能性も上がると期待します。

面白い選手が多い札幌ですが、昨季は荒野拓馬が凄かった。いわゆるゼロトップですが、相手のボランチをマンマークするので、BOX to BOXのCFという世界にも類のない役割を果たしていました。

楽しそうにプレーしているのがいい。超重労働なのに楽しそう。懐の深いキープからのトリッキーなパスがあり、強引に割っていくフィジカルコンタクトもあり、ゴール前に飛び込んでいくストライカー的なプレーもありで、フィールド全面で何かやれる。まあ体力があるからなのでしょうけど、あんなに何でもかんでもやれるなら楽しいでしょうね。

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