「バスを置いた」大分の戦い方は絶対王者・川崎攻略の突破口になりうるか?【2022シーズンの残酷なテーゼ】
天皇杯で盟主・川崎フロンターレを破り、決勝進出を決めた大分トリニータ。見事な戦いを見せた一方で厳しい現実を突きつけられた一戦でもあった。大分に見る、持たざるものがJ1を戦う上でのヒントと王者攻略の糸口を探った。
勝ち点57差の実力差を埋めた大分の戦略
天皇杯決勝は大分トリニータと浦和レッズの対戦となりました。今回は準決勝でPK戦の末に川崎フロンターレを破った大分に注目してみます。
ご存知のとおり、大分は降格して来季はJ2でプレーします。2021年の順位は18位でした。準決勝で対戦した川崎とは勝ち点で57ポイントもの差があります。19勝ぶんの差ですね。リーグ戦でこれほど大差のある相手にPK戦とはいえ勝てるところがサッカーであり、カップ戦の醍醐味でしょう。リーグ終了直後に天皇杯の準決勝という日程もちょうどよかった気がします。
スコアは1-1。延長後半8分に川崎の小林悠がゴールしますが、ロスタイムにエンリケ・トレヴィザンのヘディングシュートで同点に。PK戦で大分が決勝進出となりました。
大分はいつもの3-4-2-1ではなく、中盤を菱形に組む4-4-2でした。エンリケ・トレヴィザンとペレイラをCBに起用したのが効果的でした。ボールはほぼ川崎が支配していて、大分は「バスを置く」守り方でしたから、ボールの奪いどころがペナルティーエリア内になるケースが多く、そこでCBコンビの守備力が効いていました。GK高木駿の再三のファインプレーもありました。
最後の同点ゴールはすでに放り込みの時間帯に入っていて、下田北斗の右から入れたハイクロスをエンリケ・トレヴィザンが高い打点のヘディングで合わせたもの。川崎は遠野大弥が負傷して10人になっていたのが響いたかもしれません。
大分の勝ち抜けはカップ戦らしいものであり、素晴らしい戦いぶりでした。一方で、J1に残留できなかった理由も表れていたかと思います。
ビルドアップのその先にある課題と突き付けられた現実
ほぼ専守防衛だった大分は90分間、川崎を完封することに成功しています。大分も得点できなかったので延長になったわけですが、粘って無失点というのはプランどおりだったでしょう。
リーグ戦での大分はとくに守備的なプレーはしていません。この準決勝でもビルドアップしようとはしていました。
(残り 1677文字/全文: 2633文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ