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金沢U-18がプリンスリーグ北信越で3試合ぶりの勝利【無料記事】

18日に行われたプリンスリーグ北信越第11節で金沢U-18は松本U-18と対戦。この日の松本市は最高気温35.6℃を観測し、試合では前後半とも飲水タイムのほかクーリングブレイクが設けられるなど、過酷な環境下で行われた。

 

ここ2試合勝利のなかった金沢は先制しながら一度は追いつかれ、なかなか決定機をつくれない難しい展開でも3試合ぶりの勝利。暫定2位の座を守って、来週からはクラブユース選手権に挑む。

 

金沢U-18フォーメーション

 

立ち上がりに先制点を奪うが……

 

金沢は立ち上がりから相手最終ラインの背後を狙う形で攻め込んでいく。そして13分、クロスからのセカンドボールを拾った平川稜がラストパス。抜け出した平川悠人のシュートは阻まれたが、これを中川豪が押し込んで序盤にリードを奪った。

 

その後は膠着状態が続くが、前半終盤はカウンターから何度かピンチを招くようになる。そして終了間際にキーパーの頭上を抜くシュートで同点とされ、ハーフタイムを迎えた。

 

相手ではなく自分たち

 

前々節の富山U-18戦では1点をリードしながら試合終了間際に追いつかれドロー。前節の北越高校戦では逆に終了間際に追いつくが、ラストプレーで逆転ゴールを許していた金沢。辻田真輝監督は選手たちが自分たちのやるべきことをおろそかになりつつあると感じていた。

 

「それまではクラブユースも含めて相手の話とか、自分たちと相手の話をしていたが、対戦相手のことを気にするような選手も出てきたので、もう一度優先順位をはっきりさせた。カターレと引き分けてからもう一回、みんながやりたいことと、そのなかで自分がやらなければいけないことを見つめ直した」

 

6月26日にはプリンスリーグで首位に立ち、7月25日からクラブユース選手権が始まることもあり、どこか自分たちのよさを忘れかけていた金沢。シーズン序盤も終了間際に追いつかれたり、勝ち越されたりする試合が多く、1勝する難しさは身にしみて感じていたはずだったが、その悪癖がぶり返したようになっていた。

 

松本戦でも前半終了間際に失点。「やろうとする選手はいるが、やっぱりまだ出し切れない選手もいる」。ハーフタイムには辻田真輝監督の強い言葉が飛んだ。

 

 

 

後半も金沢はボールを奪ってからの攻撃の精度がいまひとつで、前線に収まってから、またはそのひとつ前のパスで失うケースが目立っていた。逆に松本のミドルシュートでゴールを脅かされる場面もあり、ジリジリした試合展開が続くなか、セットプレーに活路を見出す。

 

65分すぎから立て続けにコーナーキックを奪った金沢は68分。右からのコーナーキックを波本頼が折り返すも中では合わせられずクリアされてしまう。しかしこれを拾った村田健人が右足を一閃。シュートは相手に当たってキーパーの頭上を越えるとゴールに吸い込まれた。

 

左サイドバックで先発した山下莉人が前半早々に負傷したため交代で入っていた同じ2年生の村田。今シーズン、これが3試合目の出場となったが、前節は左サイドバックでスタメン出場し前半のみで交代していた。「先週使っておいてよかった」と辻田監督は笑っていたが、どうやら練習での頑張りも認められて競争に加わってきたシンデレラボーイの一発で勝ち越しに成功する。

 

その後はフィニッシュに持ち込めないという課題はありながらも、それまでよりもうまくボールを回して時間を使っていく。最終盤は相手が点をとるためにパワーをかけてくるなかでピンチもあり、これまでの失点が頭をよぎるシーンもあったが、選手たちはクロスをブロックしたり、フリーキックをキーパーがしっかりキャッチするなど最後まで体を張る。「勝つためにみんなしゃべるようになった」と辻田監督も振り返ったが、最終ラインの波本頼から見方を鼓舞したり注意を促すような声も聞こえていた。

 

そしてクーリングブレイクなどもあったため10分近くあったアディショナルタイムをしのぎきった金沢は3試合ぶりの勝利を収め、暫定2位をキープした。

 

クラブユース選手権前最後の試合を勝利で飾った辻田監督の表情は晴れやかというよりも、ホッとしている感じだった。「いつも勝ちにこだわるけど、今日の後半はかなり勝負だと思っていた。選手権前だったし、(リーグ戦も)引き分け、負けという流れだったので『今日は』というところもあった」という指揮官は、それでも「気持ちよく全国大会に臨める?」という質問に「いけると思います。勝つと負けるとは違う」と力強く口にしていた。

 

プリンスリーグ北信越順位表(7月18日時点)

順位 チーム名 勝点 試合数 得点 失点 得失点
1 帝京長岡 21 10 7 0 3 21 8 13
2 金沢U-18 20 10 6 2 2 19 9 10
3 松本U-18 17 12 4 5 3 15 15 0
4 富山第一 16 11 4 4 3 12 9 3
5 新潟U-18 15 12 4 3 5 15 12 3
6 星稜 14 8 4 2 2 13 11 2
7 富山U-18 14 10 4 2 4 10 13 -3
8 新潟明訓 14 12 4 2 6 11 18 -7
9 北越 10 10 3 1 6 11 18 -7
10 丸岡 7 11 2 1 8 10 24 -14

 

25日から始まるクラブユース選手権では大宮、京都、磐田というプレミア勢が揃う厳しいグループとなった。過去2度の出場で金沢はまだ勝点を獲得したことはないが、いまの3年生は中学のときに高円宮杯で準優勝を成し遂げた世代。その経験もあり、2年前にもクラブユース選手権を経験している波本は勝点1や1勝ではなく、中学時代に成し遂げられなかったことを目標にしている。

 

「たしかに1勝したいということはあるけど、自分たちのゴールはそこではなく、全国優勝という大きな目標を掲げている。中学のときも無名のなかで勝ち進んでいった。サッカーは何が起こるかわからない。ジャイアントキリングを起こせると思う」

 

金沢U-18は25日に京都、26日に大宮、28日に磐田と対戦する。いずれも8時45分キックオフで無観客となっているが、試合はすべてライブ配信される予定。

 

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