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金沢U-12は26日から全国大会に出場。伊藤将大監督インタビュー「この子たちはまだまだ伸びる」【無料記事】

26日から鹿児島で開催される全日本U-12選手権に金沢U-12が2年連続で出場する。今年は26日の第2節と翌日の第3節がネットでも配信される(勝ち抜けば、以降は全試合配信)。大会を前に伊藤将大U-12監督に話を聞いた。

 

ーー今年もコロナで大変だった1年だったが、大会・練習などはどうだった?
「石川県とか金沢市の6年生・5年生の大会に関してはすべて開催された。結果としては全部の大会で優勝することができた。ただ夏休みには静岡に遠征にいく予定だったがなくなった。北信越のなかで強い相手とは何度かできたが、それを通り越した強いチーム、強度の高い試合ができなかったので、それが全日(全日本U-12選手権)にどう響いてくるのかは不安要素ではある」

 

ーー石川県内での試合はすべて優勝ということだが、先日行われた北信越大会はどうだった?
「結果としては3位。チームとして仕上げれていれば優勝はできたんじゃないかなと思うが、(県大会を)優勝してからのフジパンカップ(北信越大会)までの2週間はもう一度個の技術、スキルアップをテーマに掲げていたこともあって、チームやグループでのところは(練習)していなかった。そういう意味ではフジパンは個の成長を感じられる大会にはなった。僕としては全日に向けての個のスキルアップのためのひとつの経験としか考えていなかったので、そのテーマのなかでは一定の成果を感じられることができた」

 

ーー監督には今年のチームはどんなチームだと映っている?
「去年のチームと比較すると選手に失礼だが、去年よりも特徴のある選手が多いかなと思う。ただ、去年は特徴をもっている選手が抜けているところがあった」

 

ーーシーズン前に計算していた通りに選手たちは成長した?
「これは選手にも言っているが、去年はすごく強いと言われている年代で、いまの5年生も強いと言われている代で、今年の6年生は正直少し落ちるという周囲の評価があった。その評価はあながち間違ってはいないのかなというのが最初の印象だったが、そう言われているメンバーで全国大会に出れば選手としても指導者としても自信になるんじゃないかなと思って1年間取り組んだ。そのかで、選手たちがテーマに対して貪欲に取り組んでくれたし、反応よくトレーニングに励んでくれた。だから自分が想像するよりも成長してくれた」

 

ーーテレビで放送された県予選の決勝だけは見たが、相手のチームには突出した選手がいて苦戦した?
「前半は『これがツエーゲンなの?』という戦い方をしていた。僕が『(相手の)10番を気にしてね』という指示をしたことで、選手が過度に意識しすぎたところがあった。それでも前半で同点に追いつけたことが大きかった。後半は1年間積み上げてきたことが出せた」

 

ーー全国大会では成績も大切だが、やはり個を育てることも大事?
「1対1を勝てるか負けるかで優位性が変わってくる。ひとりで剥がせなければ周りの人を使って剥がすことも含めて個。ひとりでイケイケドンドンでできるのももちろん個。ただそれ一辺倒ではいけない。できることの選択肢を増やしてあげることが個なのかなと思う」

 

ーー谷間の世代という評価だった世代が全国でどんなプレーを見せるかは楽しみだが?
「去年と同じようにすごく厳しいグループに入った(全国大会は4チームでグループリーグを行い、1位+2位の上位4チームが決勝トーナメントに進出)。弱いチームがいない。(各都道府県)予選の結果を見ると、ほぼ無失点で優勝しているチームも多い。でも弱いチームと(グループリーグで)対戦して勝ち上がって、決勝トーナメントの1回戦で強いチームに打ちのめされるより、強い3チームと対戦して全力を出し切って、ここはできた、ここはできなかったと選手が感じるほうが成長に繋がる。周りの人からは『石川では強いけど全国では勝てないよね』という評価になるかもしれないが、強いチームと対戦することで選手たちの今後の財産になるなら、それでいいと思う。もちろん負けにいっているわけではないので、勝つために全力を出すことに変わりはない」

 

ーーサッカー人生で初めて経験する全国大会だけに、多くのものを吸収してほしいが?
「サッカーでの成長だけでなく、人間性の育成にも影響を与える全国大会になるんじゃないかなと感じる。あの子たちは(県大会で)優勝したあとでも浮かない顔をしていた。『どうして喜んでないの』と聞くと『前半の出来がよくなかったから』だって。10番の子はケガなどもあって試合になかなか出られなかったが、5年生の子にレギュラーをとられたことで泣いていた。ケガを言い訳にしない、その子のメンタルもすごいなと思ったし、この子たちはまだまだ伸びる。浮かれているのは監督だけだなと思った(笑)」

 

ーー最後に全国大会に向けた意気込みを。
「子どもたちは優勝を目指していると思うし、子どもがそれを目指すなら指導者としても目指すべきだけど、なにをしてでも勝てばいいというわけでもない。この大会を通じて子どもたちがどこまでチャレンジができるか、通用したもの・しなかったものを明確にしながらひとつの試合で成長すること(が大事)。それが結果として勝利に繋がって、予選突破、優勝に近づくことができればいいのかなと思う。去年は全国大会の舞台を経験して、決勝の舞台も見て全国レベルを肌で体感できたことは、僕にとってすごく大きかった。それを考えたときに、今年の最初はすごく差があった。だからこそ選手には厳しく言ったところはあるし、それでも文句も言わずに表現して、成長してくれた。自分たちで掴んだ全国大会なので、自分たちがイキイキする大会にしてほしい。それを僕たちスタッフがサポートしたい。選手が情熱をもって戦っているのだから、それ以上の情熱をもって僕たちも戦いたい。勝っても負けても見ている人が感動できる試合をしたい」

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