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クラ選1日目は”前向きな”完敗【無料記事】

本日行われたクラブユース選手権の1日目。金沢U-18は川崎U-18と対戦し0−2で敗れた。

 

それでもキーパーの浦理貴弥が「結果以上に自分たちの得たものが大きかった」と言えば、センターバックの岡本翼も「相手の前評判が高いなかでも、自分たちがやれた部分もたくさんあったと思う」と振り返るなど、0−2というスコアや5対18というシュート数には表れない手応えを選手たちは得た様子だった。

 

金沢スタメン

キャプテンの松浦魅空をベンチに置き、鶴谷圭吾が前線で中川豪と組むメンバーで臨んだ金沢U-18。「あまり怯えることもなく、全員が集中して入ることができた」と浦が言うように、選手たちは川崎フロンターレという名前やプレミア首位という実績にもまったく臆することなく試合に入った。もちろんポゼッションは川崎だったが、球際では激しく、奪ってからはサイドのスペースを狙いながら、15分ぐらいまでは危なげなく推移させていた。

 

しかし時間がたつにつれ、マイボールになったときに相手の圧力を受け、すぐにボールを失うことが多くなる。失点も、せっかくマイボールになったところで失ったところから喫してしまう。前半終了も近くなった32分(35分ハーフ)、左から右に大きく展開されてクロスを入れられると、一度は相手のヘディングシュートを浦が防いだが、こぼれを押し込まれてしまった。

 

ハーフタイムでじゃ「全員でアグレッシブにボールを奪いにいく」ための確認をしたと岡本。その言葉通り、後半はアグレッシブにボールを奪い、相手ゴールに迫る場面が増えた。

 

開始30秒で中川が抜け出すと、3分には鶴谷がミドルシュート。その直後にも中盤でボールを奪ってから平川稜が相手を外してドリブル。柳村龍慎に絶妙なスルーパスを通すも惜しくもオフサイドとなるなど、いい守備からいい攻撃に繋げる場面が格段に増えた。

 

しかし前半と同じように、流れを押し戻す強さとチャンスを物にするしたたかさを川崎に見せつけられる。47分、「ずらして、ずらして、全員で流動的に動いてくるので、そこは難しかった」と岡本が言うように、少しずつ守備が遅れていくと、最後は外から中に入ってきた志村海里に決められてリードを2点とされてしまった

 

これでかなり苦しくなった金沢だったが、選手たちは下を向かずに自分たちのやるべきことを続ける。前からハメてボールを奪う、ボールを動かしながらサイドで起点をつくり、前を追い越しながらチャンスをつくる。再び浦と岡本の言葉を借りるなら、「前線の選手たちがしっかり限定してくれて、うしろの選手たちは決めやすくて奪えるシーンが多かった」(浦)、「ビルドアップのところでけっこう繋げるところもあったし、前で何回も崩してチャンスをつくることはできた」(岡本)と、攻守共に狙っていることはある程度できた。

 

ただ、「ゴールまで前まではすごくいい感じで行けたけど、やっぱりフィニッシュが課題」と柳村龍慎。勝点や相手を焦らせたり怖がらせるための攻撃という点では課題が残った。逆に川崎はしっかりシュートまで繋げてきた。後半は金沢が押し返したように見えたが、シュートは前半を上回る10本も打たれている。「相手のフォワードや中盤は常にゴールを狙っている印象があった。しっかり構えてボールに反応するということを意識した」というキーパー浦の度重なる好セーブがなければ、もう少し差がついていただろう。

 

それでも冒頭で紹介した選手の言葉と同様に、想像していたよりもできることは多かった。何より、下を向くことなく最後まで崩れなかったことは、残り2試合あるグループリーグを考えると大きかった。完敗で自信がつくというのもおかしいが、前向きな完敗とでも言えばいいのだろうか。残り2試合に望みを抱けるような敗戦だった。

 

「次は負けられない。絶対に2勝して初のグループステージ突破をしたいと思います」。守護神の浦も力強く、そう宣言した。

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