福島ユナマガ

【無料記事】J3中盤戦に向けて…街の熱量を上げられるか【特別コラム】

福島ユナイテッドFCはJ3第12節を終えて、首位いわきFCと勝点7差の6位につけている。序盤と比べてやや順位は落としているが、J2昇格枠を射程圏内に入れている。ここから先のリーグ戦の展望と、そしてここから絶対に必要になってくる街の熱量について語りたい。

<展望>攻撃はバリエーション増加と精度の向上、守備は瞬発力や足下の技術がある相手への対応が鍵。

J3は前半戦(対戦一回り目)が残り5試合となった。福島の残りの対戦相手はFC岐阜、ヴァンラーレ八戸、カターレ富山、鹿児島ユナイテッドFC、松本山雅FCとなる。

ここまで見てお分かりの通り、前半戦ラスト3試合は現時点で福島より上位のチームと対戦する。また岐阜も監督交代以降負けがなく、かなり手強いと見て良い。

個の強い相手との戦いが続くので、いよいよチームの真価が問われることになる。

こうした中、チームは直近3試合で勝ちがない。前節北九州戦は藤枝戦の大敗ショックをある程度払拭することはできたが、勝ちきるところまで持ち込めなかった。ここまでのこうしたチームの流れと、今後の対戦相手を考え合わせると、厳しい戦いが毎試合続くと思った方が良い。楽観視はできない。

ただ、ここまで積み上げた手堅い守備や、サイドからの崩しやセットプレーなど、自分たちの武器に関してはしっかり自信を持ちたい。その上でやれることを全てやるべきだ。

攻撃に関しては北九州戦後も書いたが、サイドからのクロス以外に機を見て中から攻める形をつくるなど、バリエーションを増やすことと、今できているサイド攻撃の精度を高めることを同時に進めたい。セットプレーに関してもより磨きをかけ、毎試合セットプレーで取るくらいの意気込みでいきたい。

いつ公式戦に復帰するかはまだ分からないが、FW樋口寛規も復帰に向けて着々と準備を進めており、どこかでチームを救ってくれることに期待したい。

守備に関しては瞬発力のある相手や、相手を剥がすドリブルのようなテクニックを持つ相手への対処をさらに詰めたい。これから暑くなるが、90分スライド、球際の意識を切らさないことも重要だ。

前半戦終了時点での目標としては勝点で示すのは難しいが、今の上位チームの集団から離されないことを一つ、目標に掲げたい。離されなければ、後半戦に向けて展望が広がる。

その先の後半戦の展望だが、7月半ばに移籍ウィンドーが開く。J3上位チームから、J1J2への選手の引き抜きなどが間違いなく起こる。どのチームも人が大きく入れ替わるのは確実なので、今、ここで後半戦以降の展望を語るのは不適切だろう。移籍ウィンドーが開いた後のことは後で考えれば良い。

もちろん福島は移籍ウィンドーが開いた時に向けての準備を今から進める必要があるが、今は今のメンバーに全力出し切ってもらうことを期待したい。

福島は若い選手が多く、まだまだ伸びしろがある。そして若い選手は伸びる時は急激に伸びることがある。ぜひ若さを全面に出し、思いきってプレーしてもらいたい。

<街の熱量>街の熱量が上がれば、必ずチームに好影響は与えられる

現状分析からの展望はここまでとして、ここから先は直接はチームに影響を与えないかもしれないが、サポーターそして街の熱量を上げていくことについても語りたい。

ここまでいわきFC戦が4000人越え、藤枝戦も1500人程度と、昨季までより集客は健闘している。ただ、他クラブが3000~5000人の観客を集めていることを考えると、さらに観客を増やしたい。できれば2000人はコンスタントに越えたい。

サポーターが声掛けして少しでも仲間の輪を増やすことは大事だ。そしてチームはやはり集客した試合で、しっかり勝ちたい。服部監督が集客した試合やテレビ中継のある試合で敗れたことを試合後悔しがった時があったが、そうした試合で勝つことで生まれる好循環もあるので、やはりホーム戦は全力で勝ちにいきたい。

とはいえ、全ての試合を勝つのは難しい。ここはクラブのイベント企画で楽しんでもらうことも重要だ。試合は負けたけど、楽しいイベントがあったからまた来よう、という形でも好循環は生まれる。

ぜひ、岐阜戦からのナイトゲームを有効活用して、とうスタに賑わい、熱量をもたらしたい。

サポーターの熱量が上がっても、サッカーをやるのは選手だろう、チームの成績と関係ないじゃないか、と思う人もいるかもしれない。でも熱量は確実に選手たちに伝わる。コロナで人がいない状況で天皇杯のいわき戦で勝てたのも、サポーターの熱量があったからこそ、選手たちは苦しい時に一歩足が出たのだ。

ひいては街の熱量も上げたい。ぜひ勝っても負けても、次の日の話題に福島の戦いのことを日常会話で出して欲しい。そうしたものの積み重ねで、街の熱量が上がれば、チームに絶対に勝たねば、という機運も生まれる。

私はサッカーが元々盛んだった静岡市清水区で育ち、2001年頃から劇的にサッカーが根付いていった仙台市を見てきた。特にサッカーの熱量としては決して高いとは言えなかった仙台で、どんどんスタジアムの熱狂が拡大し、街全体がサッカーに染まっていったのは今でも強烈に印象に残っている。熱量が絶対に選手やチームに伝わるという確信があるのは、このためだ。

もちろん、仙台は駅の近くにスタジアムがあり、客席の屋根に反響した声援が熱狂をつくり出すという特殊事情があった。時代背景もあるので、福島で今、20年前の仙台のようなムーブメントをつくるのは簡単ではない。

でも熱量を上げることが不可能だとは思わない。秋田も岩手もJ2に上がり、街の熱量は上がった。福島の街の規模でできないはずがない。私はサッカーの力、サポーターの力を信じている。福島サポーターのみなさまも、自分たちの力を信じて、ぜひ応援の輪を広げ、熱量を上げていただきたい。

本来今日は更新お休みの予定だったが、「福島ユナマガ」有料登録者100名を越えたので、みなさまへのお礼を込めて、無料コラムを送らせていただいた。ここから先はイバラの道だが、福島のみなさまが熱く戦うお手伝いをさせていただきたい。今後ともよろしくお願いいたします。

(6月15日は更新をお休みいたします。6月16日はJ3第13節岐阜戦に向けての選手・監督コメントをお送りいたします)

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