「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【コメント】トニーニョ・セレーゾ監督「明日はたくさんのサポーターに来てもらってみんなで良い結果を勝ち取りたい」/WSW戦前日公式記者会見(2015.02.24)

――昨季からの上積みは?

■トニーニョ・セレーゾ監督

今年、何人かの選手を補強したところと若手の選手が加入したところだと思います。明日の試合がシーズン初めの試合です。とても厳しい試合展開になるだろうと予想しています。ですが、我々のACLの大会に出られる喜びを持って良い試合ができるように準備してピッチのなかに入りたいと思います。

■MF8 土居聖真選手

監督も言った通り去年の戦い方をベースにして、キャンプではさらに質を上げて理解度だったり熟成度は高まっていると思う。そこに新加入選手のいいところだったりをしっかり出せるように僕らがサポートしながらやっていけばいいと思います。高崎選手は高さがあるし、ファンソッコ選手もフィジカルが強い。そういう選手の特長を生かせるようにキャンプの期間中にできたので、そういうところを上積みできたと思います。

 

――厳しいグループに入ったと思います。そのことについては?

■トニーニョ・セレーゾ監督

同じグループに入った他のチームを見て、強豪揃いのグループに入ったことはわかっています。そして、どのクラブとも同じリーグで戦ってはいません。例えば、我々がオーストラリアリーグにいてウェスタンシドニーと対戦しているわけではない。どうしても分析はビデオ、もしくはうちのスカウトを通じて情報を得る程度のことしかできない。ただ、そこを通じて言えることは二人のディフェンスが良い働きをする、ボランチも激しくプレッシャーをかけてくる、パスもさばくのがうまい、そしてSBはとても攻撃に参加してくる選手だということ。中盤については両サイドともうまくサイドのスペースを使いながら良い動き出しをしてきます。そうした選手がサイドに張っているので、真ん中の二人の選手は中央に空くスペースをうまく突いてくる。そういったひとり一人が役割分担された中でしっかりプレーしてくるチームだという印象を受けました。そして、高い位置からプレッシャーをかけてくるチームでもある。そうした点で、相手が強豪であるのですから、我々は気を付けなければいけないと思います。

私たちのクラブには若い選手がたくさんいます。経験に加えて、自分たちのスピリット、いままで培われてきた伝統ある鹿島のスピリットをしっかり持って、ピッチのなかで戦ってほしいと思う。明日の試合はスペクタクルなゲームになることを期待しています。相手チームにはクオリティの高い選手ばかりが揃っていますので、正直、難しい試合になると思います。しっかり準備してピッチに入って、結果を出したいと思います。

相手チームは身長がとても高い。数多く背の高い選手が揃っている。ハイボールに対して気を付けなければならない。例えば、相手チームが奥深くまで侵入してきたときに、センタリングに対して2列目や3列目のボランチから、どんどん中に入ってくることがあります。そうしたときに私たちの中盤の選手がボールだけを見るのではなく、中に入ってくる選手を確認するようにしなければ相手に自由にされてしまうと思います。相手の左SBは193㎝です。それだけ見てもどれだけ背の高い選手が揃っているのかわかるのではないかと思います。一つ良かったことは、サッカーと言うスポーツが足下、地面でやるスポーツだということで助けられています。もし、サッカーが上でプレーするものだったら、身長で負けていますので勝てる要素がどこにあるのか考えさせられるでしょう。

■MF8 土居聖真選手

 各国どこのクラブも上位のチームが戦いあうのがACL。もちろん過去の成績を見れば強豪ぞろいと言われるかもしれないですけど、僕は正直どこが来ても勝てると思いますし、どこが来ても勝つだけです。試合に出るのはACLでは初めてになりますけど、本当にワクワクしかないというか、どれだけ自分が通用するのか試したい。日本ではできるプレーが、海外の選手にもどれだけできるのか本当に楽しみでしかない。まわりからすれば死の組かもしれませんがグループを突破しても、強豪とやることになるのでそこら辺は特に気にしていないというか、逆に強い相手とやれる方が僕のサッカー人生にも良い財産になると思う。チームにとっても若い選手が多いので良い経験になると思う。他の選手がどう考えているかわかりませんけど、楽しみながらACLを戦っていけたらと思います。

 

――セレーゾ監督には、公式戦初めての試合、ACLとしても初めて、Jリーグ開幕前の1試合でもあるし、タイトルをためにも大事な試合と、いろんな要素があると思います。WSWとの一戦はどのような意味があるのか教えてください。

 ■トニーニョ・セレーゾ監督

 ACLに出場するにあたって、Jリーグ優勝から3位までに入らなければACLの出場権は得られません。つまり、誰でも出られる大会ではない。しっかり国内のサッカーで結果を残したクラブだけが出場権を得られる。どのクラブにとっても貴重な大会だと思います。日本の大会は、Jリーグ、ナビスコ、天皇杯、その大会というのは毎年同じチームが顔を合わせて戦うことが多いので、お互いにやることはある程度わかりあっているところが見受けられます。しかし、ACLは国際試合になるので、我々は日本のクラブを代表して海外のクラブと対戦する。しっかりとプライドを持ってピッチに入りたいと思う。選手や私たちはACLに出場できることを喜びに思っています。今後のサッカーのキャリアとしても非常に貴重な体験になる。なぜならまったく環境の違うところでサッカーをやるのですから。韓国に行ったり、中国に行ったり、オーストラリアに行ったりいままで味わったことのない場所、雰囲気でサッカーをすることになる。どれだけ選手にとってプラスになることなのか、経験の上でもとても重要なゲームになることは間違いない。

この大会で一番大事なことは、ホームゲームを必ずものにすることだ。それだけアウェイに行ったときの試合環境は変わる。自分たちのホームにいるときは必ず勝つことが最低条件だと思っている。アウェイに行ったときは、そのときの順位表や他の結果によりますが、うまくゲームマネジメントしてサッカーができると思う。そのためにも必ずホームで勝つことが必要です。

あと海外のクラブと対戦するわけなので、つねに対戦している相手ではありません。先ほども言った通り、ビデオによる分析とスカウティングによって相手のことを知っているだけです。90分を通してどんな試合になるのかわからないので、すごくいま楽しみにしています。ファンタジーなゲーム、ミステリーなゲーム、どのような試合になるのかは明日、始まってみないとわからない。ですが、明日はたくさんのサポーターに来てもらってみんなで良い結果を勝ち取りたい。それだけを信じて私たちは戦います。

 

――今季から背番号8になりました。どんな責任感をもってプレーしていくのか、なにを思ってプレーしていくのか教えてください。

■MF8 土居聖真選手

背番号でサッカーをするわけではないですけど、歴代の鹿島の背番号8というのは、小笠原選手であったり野沢選手であったり、歴代の名選手が付けてきた。その選手たちがなにをしてきたのかと言えば、チームが苦しかったりしたときに、チームを助けることをしてきたし、決定的な仕事をしてきた選手たちです。内容は違えど、チームを勝利に導いたり、優勝に導いたりする選手にならなければいけないと思っています。真似をするわけではないですけど、責任と自覚はしっかり持って、チームをどうしなければいけないのかを考えてやらないといけない番号だと思っています。自分の特長を最大限に出して、新しい鹿島の8番像をつくりたいですし、つくっていかないといけないと思います。そういう覚悟と自覚を持って今シーズンを戦っていきたいと思います。

 

――チームとしは国際経験が少ないかもしれませんがアジアカップには3人の選手が参加しました。特に柴崎選手は試合に出場し決定的な仕事もした。彼に期待することがあれば教えてください。

 ■トニーニョ・セレーゾ監督

 柴崎がしているサッカーは、他の選手よりも一つ上のレベルでサッカーをしているところがある。だから、おそらく他の選手とは違うサッカーが彼の考えの中にあるのだと思います。しかし、このACLでなにを期待するということではなく、1試合1試合厳しい試合になるわけですから、難しい試合になればなるほど個人に頼るというよりは団体として結束し、チームとして同じ目的を共有して戦うことが重要だと思う。ひとり一人が同じレベルのサッカーをしないといけない。しっかり個々が自分の役割分担を把握し、コンパクトにチームを保ち、厳しいプレッシングをして、最初から最後まで同じサッカーをすることがACLで勝つためには重要だと思う。もちろん私たちには21歳くらいの成長過程の選手がたくさんいる。それは植田であり、昌子であり、聖真です。試合を通じて失敗することもあるでしょう。それは若さ故に起こりうるものだと思います。その失敗を一つひとつ悔しがったり考え込んだりしていてはおそらく成長はないでしょう。失敗してこそ学ぶことはたくさんあります。なので、この緊迫した難しい試合の中で、選手たちは失敗しながらも成長していってもらいたい。そして選手としてもクラブとしても、試合を重ねるごとに熟成しまとまっていくのかなと思う。それが最後にサッカーの技術だけでなく、フィジカルだったりメンタルだったりも強化されて、良いチームに仕上がっていくのだと思う。

選手ひとり一人が、身体を硬くして、緊張してピッチに入って欲しくはない。こういった難しいゲームに対する私の哲学は、やはり試合を楽しむこと、そして自分たちにもやれる、自分たちにも勝てると思うことが一番大事だと思う。そういう心構えがあってこそ、物事はポジティブに運ぶ。選手たちには力まず、身体を硬くせず、思いっきり楽しんでプレーをしてきてもらいたい。そう考えています。

サッカーの面白いところは、ボールが転がった瞬間に誰もがどういった展開になるのか予想がつかないことです。なにがこの時間で起きるのかわからないなかサッカーを見る、ということがとても素晴らしいことなのではないかと思います。

 

 

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