「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【レビュー】今季ワーストから今季ベストへ。今後数年のターニングポイントとなる勝利をあげる/明治安田生命J1リーグ1stステージ第16節 横浜Fマリノス戦(2015.06.21)

 このチームは、一つ上のレベルに到達したかもしれない。試合までの2週間で起きたことを思い起こすと、今日の勝利がただの1勝でないことは容易に想像が付く。キャプテンである柴崎岳の山形戦後の発言は強烈なインパクトをチーム内外に与え、先週末の栃木ウーヴァ戦の内容はチームが末期症状に陥っていることをうかがわせた。

 しかし、そんな今季ワーストとも言える状態から一転、すばらしい内容のゲームを見せた選手たちの表情は誰もが誇らしげだった。努力が結果に繋がらないもどかしさや試合に出られない悔しさ、立場の違いからくる悩みは選手各々で違う。それでも鹿島の真髄である「献身・誠実・尊重」を体現するような試合を、選手たちはこのタイミングでやってのけた。勝利には様々な種類があり、なかには相手がプレゼントしてくれた偶然の勝利もあるだろう。勢いに任せただけの勝ちもあるかもしれない。しかし、この日の勝利はそうしたものとは全く異質だ。“チームのために”というクラブの哲学を誰かに言われて実践するのではなく、全員が納得して取り組み、全員で一致団結して掴んだ勝利だった。

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