「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【レビュー】最悪のピッチに惑うことなくしたたかに勝利。ただ、やはり不気味な敵将の影/明治安田生命J1リーグ2ndステージ第13節 ヴィッセル神戸戦(2015.10.04)

 記者席がある2階席から見ると、サイドライン際とホーム側のゴール前のペナルティエリアだけは芝が張り替えられているのがわかったが、ピッチ中央部は点々と白く禿げ上がった部分が数多くぼこぼこの状態。張り替えた部分も根付きが悪く、ずるりと滑る選手たちが鹿島だけでなく神戸の選手にも見てとれた。とてもサッカーができる状態のピッチではなかった。

 しかし、そんなピッチのなかでも鹿島の選手たちはできる限りのことを表現して見せる。躊躇することなくパスを繋ぐことを諦めて、長いボールをサイドに送ることを選択。と言っても、2トップの金崎夢生や土居聖真に競らせるようなボールを蹴るわけではなく、相手の3バックの横のスペースを執拗に突く。特に、金崎夢生は右サイドでボールを呼び込み、何度も何度も起点となって全体が押し上げる時間をつくる。そして、25分には右CKから柴崎岳が山本脩斗に合わせて、セットプレーから先制点を奪い試合を掌握。そこからなかなか追加点が奪えなかったものの、78分に途中出場のカイオが追加点を叩き込み、終わってみれば相手をシュート5本に抑える完勝劇。難しいピッチコンディションながらも、球際の戦意やチームとしての統一感、技術、試合運びなど、多くの部分で相手を上回り、神戸3連戦の第1戦を2-0で勝利した。

 

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