「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【コラム】2016年シーズン総括~選手編:MF11ファブリシオ~(2017.01.12)

 監督からの指示を受けたファブリシオがライン際に立つ。あとはプレーが止まるのを待つだけだったが、隣にいた高井蘭童通訳はファブリシオの背中を叩き強い口調でなにかを訴えていた。

「いろんな思いがあるだろうけど、最後だからもう思い切りやれよ!時間も短いし、ルールも守らないといけないけれど思い切りがんばれ!」

 カイオの穴を埋めるため、ポルトガルからやってきた助っ人ブラジル人は期限付き移籍。天皇杯決勝が鹿島でのラストマッチだった。時計はすでに88分を過ぎようとしており、ファブリシオに与えられた時間はわずか。真面目な性格から規律を守ることばかりに意識を向けてしまうファブリシオを解き放ち、なんとか力を発揮して欲しいと願った高井。

「もっとできる。殻を破ればすごい選手になる」

 その思いを言葉に載せてピッチへ送り出した。

 

(残り 580文字/全文: 937文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ