「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【レビュー】植田直通が出色の出来。豊田を封じて逆転勝利を掴む/明治安田生命J1リーグ第9節 サガン鳥栖戦(2017.05.01)

 先に点を取られると崩すのが難しい相手に対し、PKで先取点を献上しながらの逆転勝利。ピッチもスタンドも気迫を見せた価値ある一勝だった。

1-0になったところでうちが優位になったことを生かし切れなかったことが今日の試合の一番のポイントだった」

 敵将マッシモ・フィッカデンティにすれば、釣った魚を取り逃がした気分だろう。試合前、自軍の選手たちには「鹿島相手には絶対に軽いプレーをしたら絶対に逃さないチームだ」と呼びかけて臨んだが、軽率な守備でPKを与え、セットプレーでマークを外すという2つのミスが出た。相手に与えていたプレッシャーの大きさを物語る。

 

 出色の出来だったのは植田直通だろう。相手の起点となる豊田陽平をきっちり抑え込む仕事を果たした。豊田が昌子の方に逃げていってもしつこく追ってマークを離さない。それこそが植田に求めたい姿だ。

 高校時代まで国士無双だった植田にとって、プロに入ってからは屈辱の日々だったことだろう。失点に絡むことは受け入れがたく、結果的にミスをしない守備、チャレンジしない守備、無難な守備に落ち着いてしまうことも多かった。

 しかし、この日の植田は違った。豊田に負ける場面があっても、何度も何度もしつこく競りに行く。その姿はいままでとは大きく異なる。試合後、あんな表情の植田を見たのは初めてと言えるほど、晴れ晴れとなにかを掴み取ったような顔をしていた。

 

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