「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

どう攻め、どう守るのかがまったく見えない”完敗”/【レビュー】明治安田生命J1リーグ第5節 コンサドーレ札幌戦

「我々はチームづくりを始めて2ヶ月です。そういった短い期間で選手たちがこれだけのことを見せてくれたのは、監督として少し驚いています」

ペトロヴィッチ監督でさえ驚きを感じたそうだが、札幌の選手たちが見せるサッカーは見事だった。

サッカーは11人対11人でやるものだが、ペトロヴィッチ監督は33などにはめ込んでいる。例えば、札幌のCBがボールを持ったとき、WBがパスを受けるため引く動きを見せるがそれは罠でもある。そこに鹿島のSBが強く寄せれば、その背後にシャドーの選手が飛び出しCBから縦に鋭い楔が入る。もしSBが寄せてこなければそのままWBにパスを入れる。つねに選択肢は複数用意されており、札幌の選手たちは主導権を持って鹿島の選手を動かしていた。

「今日の攻撃に関しては。後ろからのビルドアップ、そしてチャナティップと三好のギャップのところで受ける縦へのボール、そして相手が楔のボールを嫌がって前に来たところで都倉が裏に抜けていく動き。足下への楔のボールと裏のスペースへの走り出しを、狙いを持ってできていたんじゃないかと思います」

相手(この場合は鹿島)がどう動いてくるのか予めわかっているため、そこへの対処は明確もよく訓練されているのがよくわかった。

 

翻って鹿島はなにもなかった。どう守ってどう攻めるのか、ピッチに描かれる絵は線も整っていなければピッチに塗る色も選手によって違う。そのため鮮やかな色合いができあがることはほとんどなく、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされるだけの幼稚で稚拙な奇っ怪なものだった。大岩剛監督の責任は重い。

 

 

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