「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

内田篤人から23人へのメッセージ/【プレイヤーズファイル】

31日、ロシアW杯を戦う23人の日本代表が発表された。そのなかに内田篤人の名前はなかった。

日本代表への復帰、そしてもう一度W杯という舞台に立つというモチベーションは、復帰の目処さえ見えない果てしない道のりを諦めずに歩み続ける原動力だったに違いない。

「『復帰できるかわからないよ』と言われての手術でしたからね。こうやってプレーする環境を与えてくれて、オレなんかを欲しいと言ってくれるクラブがあるだけでありがたい。ましてや『日本代表でまた見たい』と言われるのは本当にありがたい」

チームとは別メニューの調整を続けている現状を踏まえれば、それが内田篤人の現在地なのかもしれない。しかし、彼が遺した偉大な幻影は、「まだわかんないから」と少年のように目をくりくりさせながらたたく軽口にも真実味を与える。本気なのか、冗談なのか、簡単には判断が付かない。ただ、それだけ大きな怪我だったことも真実なら、W杯という大会がサッカー選手にとって人生を変えてしまうほど大きな出来事であるのも、また真実だ。彼のなかには、夢を諦めずに抗う内田もいれば、冷静に事実を受け止める内田もいる。もし、後者しかいないのなら、とっくに引退していたことだろう。

「選ばれていない人間がとやかく言うことじゃないけど」

内田の視線がすっとこちらに移る。

「大会に出るからにはサポートにまわるべきじゃない。ロシアに行ってもサポートする意識なんていらない。オレが南アのときにそうだったから」

真に、日本代表の躍進を願うからこそ、少しでも自分の経験を伝えたい。そんな気持ちがあふれるメッセージだった。

 

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