「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

柴崎岳、パラグアイ戦で本領発揮!/【日本代表コラム】

スパン、スパンと縦につけるパスは、鋭く、あっという間に受け手の元まで到達した。しかも、凄腕のスナイパーが目標物を射貫くように正確無比で乱れない。あれだけの速さのパスをいとも簡単におさめてしまう前線の選手たちの技量もすばらしいが、決して平坦ではないピッチの上で事もなげに楔のパスを通す柴崎岳の技術の高さは、ため息が出るほど美しかった。

もちろん、スペインに渡ってからの試合は何度か見た。しかし、彼がこれほど頻繁にボールに触る試合はなかったはずだ。かの地で鍛えられたのはフィジカルの強さだけではない。与えられる短い時間のなかで味方を見つけ出す視野の広さと判断の速さ、その判断を現象に落とし込める正確な技術、そして、90分間落ちない運動量。つっかえ棒のようだった軸足にしっかり体重を乗せ、体を巻き込むように蹴られるようになったフリーキックを見るだけでも、随所にレベルアップが感じられる。どこからか土居聖真の「岳ならあれくらいできて当たり前」と囁く声が聞こえてきそうなほど、すばらしい活躍ぶりだった。

 

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