「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

NHKが配信するスゴすぎるアプリと「解説者の流儀」/【コラム】

いよいよW杯が始まった。開幕戦は開催国のロシアがサウジアラビアを5-0で下す大勝で初勝利をあげた。開催国が盛り上がるとその大会自体も盛り上がっていくので、まずは上々の滑り出しと言えるだろう。

ただ、アジアの一員としては複雑な心境でもある。大会直前にファンマルバイクからフアン・アントニオ・ピッツィに監督交代したサウジアラビアは、その判断が裏目に出ていた。攻守においてのゲームプランやエリア戦略を感じられる場面は少なく、4バックを隠していたロシアの前に為す術がなかった。

正直、NHKの生中継を見ているときは退屈でつまらない試合に感じられた。失礼を承知で言うとサウジはW杯のレベルに達しておらず、選手たちもビルドアップの途中でパスがサイドラインを割ってしまうくらいお粗末なプレーを連発していた。あくびを抑えるのが難しいくらいだったが、それを劇的に変えてくれたのがNHKの配信するアプリだった。

NHK アプリ紹介

このアプリで提供されているのがピッチ全体を縦に俯瞰する戦術カメラ。これがあることで両チームの戦術的な意図がハッキリ感じられる。なぜ、そのゴールが決まったのか?はもちろんのこと、なぜ、サウジはボールを前に運ばないのかも、全体が俯瞰できるためよくわかるようになった。

(NHKの特設サイトからも見ることができる)

 

見ていて楽しい試合かどうかに関係なく、試合で起きている現象に改めて興味を持つきっかけを与えてくれたのは、大会開幕前に解説者の戸田和幸さんが書いた「解説者の流儀」を読んだからだった。

 

「もし仮に面白くない試合なのだとしたら、なぜそうなったのかを分析しつつ、できる限りポジティブな要素を取り上げて、言語化する」(「解説者の流儀」より)

自分で戸田さんのやり方を再現しようとしたとき、これ以上最適なツールはないだろう。

 

 

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