「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

自慢の左サイドが機能不全に。刺客の名は金崎夢生/【レビュー】明治安田生命J1リーグ第13節 サガン鳥栖戦

 ビルドアップに制限をかけてくるサガン鳥栖は一つの山場だった。ここを越え、連勝中と同じように相手を押し込み、ハイプレスをかけて試合を支配することができれば、どんな相手にも一定以上の成果を残せるようになると思われたが、このテストに一発回答することはできなかった。明治安田J1のリーグタイトルを奪還する上では痛い敗戦となった。

 試合後、安西幸輝は「今日は落とせなかったんでほんとに残念」と肩を落としていた。他の選手も落胆の色が濃かったことは否めない。選手たちも自信を持って臨んでいた。リーグ戦をいい形で3連勝していたことで意気軒昂、鳥栖に乗り込んできたのだ。それだけに、いいところをほとんど出すことができずに試合が終わってしまったことは想定外だったのだろう。白崎凌兵も土居聖真も三竿健斗も釈然としない表情で首をひねり、この試合になぜ敗れたのか試合直後では敗因を整理するのが難しそうな様子だった。

 こうしたとき自分たちの立場から試合を見るのではなく、相手の立場に立って試合を見ると違った光景が見えてくる。それは、対戦相手がどういう意図でサッカーをしていたのかもそうであり、対戦チームに属している選手がどういった意図をもってプレーしていたのかを考えることでもある。

 

 試合の立ち上がりは悪くなかった。土居聖真にボールが入ると攻撃のスイッチが入る。

「自分のところに入ったときは流れるような攻撃ができていたと思う」

 土居本人が振り返るようにセルジーニョとの連携も取れており、これまでの試合と同じように8番にパスが入るとチーム全体が前を向いて仕掛けることができていた。ところがこの攻撃も長くは続かない。前半半ば過ぎからセカンドボールを拾えなくなると長いボールを蹴り合う展開へと転じていく。

 鹿島がよかったからこそ鳥栖は割り切ったサッカーに変えた。それに対して鹿島は変えなかった。自分たちから変えなかった部分もあれば、そうし向けられた部分もあるだろう。特に、金崎夢生のプレーは選手のメンタル面に大きく影響を与えてしまった。

 

 

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