「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

割り切りがもたらした落ち着き。相手の隙を見逃さない2得点で天王山を制する/【レビュー】明治安田生命J1リーグ第26節 FC東京戦

 高速バスを降り、鹿島臨海線の陸橋を登るといつもと景色が違っていた。スタジアムのコンコースを3階のランニングコースも、4階も紅いユニフォームを着たサポーターが並んでいる。その下には選手バスを待ち受ける数々の大旗が揺れ動く。ちょうど視界の端から群青色の選手バスが、その光景を舐めるように入ってくる。

 沸き立つスタジアム。

 昂ぶる感情を感じながら受付を済ませ、しばらくしてからピッチを見に行くと、ウォーミングアップを見下ろす紅い壁があった。いつもは試合開始ギリギリまで三々五々にスタジアムグルメに舌鼓を打っている人たちも、すでに自分の席に着いているのだろう。決戦に賭ける意気込みがビシビシ伝わってくる試合前だった。

 感情の波は、間違いなく選手に届いていたことだろう。ただし、そのまま試合に入ってしまうほど未熟なチームではない。内田篤人ら、ベテラン選手たちが要所を締めた。

「こういう大事な試合というのは、気持ちが入りすぎて必要以上に力が入っちゃう。選手バスが入ってくるときのお客さんの雰囲気もすごかった。試合前に僕も言いましたけど『平常心で、普通に、いつもどおりに勝とう』。そう言って送り出しました。こういう大事な試合こそ普通に平常心でやるのがいちばん大事かなと思います」

 鈴木満フットボールダイレクターが振り返る。

「こういう大一番というか、試合に臨む気持ちのコントロールがすごくできていた。ミーティングのときから、寮からスタジアムに来るまでの間もそうだし、すごく気持ちが入って集中力があったと思う」

 

 FC東京は強かった。チャンスの数で言えば相手の方が多かっただろう。しかし、それを全員で守り切る。

「技術的なミスもあったけど気持ちでカバーした」(鈴木フットボールダイレクター)

 相手を上まわる気迫で、首位のFC東京を2-0で退けた。

 

 

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