「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

ものを言った経験の深さ。土居の一撃で難敵Honda FCを下し準決勝へ/【レビュー】天皇杯準々決勝 Honda FC戦

 内容的には完全な負け試合だった。それでも相手の隙を見逃さず遠藤康のクロスを土居聖真が叩き込む。チーム状況はどん底の苦しいなか、内容よりも結果が求められる試合を決めたのが、鹿島での経験が豊かな2人だったことは象徴的だ。これまで積み上げてきた確かな経験値が、鹿島を準決勝に導いた。

 

 

 改めて、サッカーは人間がやるものであり、人間は機械のように毎日、毎日同じ動きや判断を繰り返すわけではないことが思い起こされた。人間である以上、以前はできたものができなくなることもあり、同じ状況を迎えても違う判断を下すこともある。しかし、一度得た知見を簡単に忘れることはない。巡り巡って、いつしかやるべきことを思い出す。

 この試合で決勝点を決めたのが土居だったのは偶然ではない。

「ほんとにそういう”ここぞ!”っていうときを見逃さないことは今年意識しているところ。それを続けてやれているし、それが前の選手の仕事だと個人的には思っている。攻め込まれているから勝っているとか負けているじゃなく、最後の結果だから」

 これは4ヶ月以上前、セレッソ大阪を2-0で下したときの土居の言葉だ。クラブワールドカップの舞台でレアル・マドリードにまざまざと見せつけられた自分たちとの差。今季はそれを意識して入り、多くの試合で結果を残してきた。しかし、チーム状態の低下は土居に多くの仕事を突きつけた。そのなかで思い悩み、ボールをスムーズにまわすことに心を砕くようになると、いつしかシーズン当初に心がけていた意識が薄れていく。

 それでも、混乱を見せるチームに翻弄されることなく、頭のなかを整理し、やるべきことに集中できたのはクラブワールドカップの経験があればこそ。Honda FCのサッカーも見事だったが、土居が見せた一撃必殺のゴールはそれを上まわる価値を示した。

 

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