「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

持てる者と持たざる者の戦い/【レビュー】天皇杯決勝 ヴィッセル神戸戦

 さすがにごまかしは効かなかった。

 どうやってボールを運ぶのか、どうやってボールを奪うのか、どうやってゴール前を攻略するのか。相手が明確なプランを持っていたのに対し、丸腰で臨まなければならない時点で勝負は決まっていたのかもしれない。前半の2失点はいずれも不運な形だったかもしれないが、ゴールが決まった場面がそうだっただけで何度となく崩された。

 後半、相手と同じシステムに変えてミラーゲームに持ち込んだが、どうやってゴールに迫るのかは選手頼み。後半だけでいえば、相手のシュートは2本だったのに対し、こちらは7本のシュートを放った。しかし、チャンスと言える場面をつくったのは①49分にレオ・シルバのFKに伊藤翔が飛び込む、②56分の永木亮太のクロス、③61分に伊藤翔のクロスのこぼれ球をレオ・シルバがボレーで狙うところまで。崩しのクオリティにおいても相手の方が上だった。

「もう完敗です。相手を讃えるしかないです」

 町田浩樹の率直な感想がいろんな意味で響いた。

 

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