「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

大迫勇也、停滞感を吹き飛ばす鮮烈デビュー!/【コラム】追憶のアントラーズ(09シーズン③) 

 これまで書きためてきた取材ノート51冊をふり返りの第10回目。

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 3月18日、カシマスタジアムに上海申花を迎えた一戦に興梠慎三と新井場徹の姿はなかった。過去2シーズン、主力選手をほぼ固定して起用してきたオズワルド・オリヴェイラが、チームの中心選手2人をベンチにも入れないという思い切った采配を見せたのは、当然、裏の狙いがあったからだ。

「守備の安定感をもたらすことがひとつの狙いでした。もうひとつは、前でボールを収めること。それをやることによって全体的な安定感をもたらすことができるという狙いがありました。その作業ができれば、うまくチームの安定した力が発揮できると思っていました」

 試合後、オリヴェイラ監督はいままでの4試合から3人を入れ替えた意図をこのように説明したが、どこかピリッとしないチームを活性化したい意図があったことは間違いない。試合は見事に2-1で勝利。メンバーを入れ替えてチームを引き締める狙いは見事に達成された。

 しかし、試合はそれ以上の効果をもたらしたと言えるだろう。2-1の勝利はただの勝利ではなかった。高校を卒業したばかりのルーキーが、公式戦4試合目で先発出場の機会を掴み、そのチャンスに1ゴール1アシストという文句の付けようがない結果で応えたからである。

 大迫勇也は半端なかった。

 

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