「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

川崎F撃破まであと一歩。チームの成熟を感じさせる白熱の90分(後編)/【レビュー】明治安田J1第27節 川崎フロンターレ戦

 「きたっ!」

 遠藤康が選んだ軌道を見て思わず大きな声が出た。三竿健斗からの大きなサイドチェンジをピタリと止めた遠藤が、逆サイドに鋭いボールを蹴り込むと、大外からはこの形を得意としている山本脩斗が走り込んでいるのが見えた。

 試合前から緊急事態だった。

 左SBの主力である永戸勝也に新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出てしまい、さらに杉岡大暉も濃厚接触者としてこの試合に出ることができない。左SBに2人も欠場者が出る緊急事態に、突然、出場機会がまわってきた。35歳の大ベテランは、試合開始直後こそ家長昭博に手を焼いていたが、その後はほとんど何もさせない玄人好みの仕事ぶりを見せていた。

 その彼が、白熱した試合の最後の最後に脚光を浴びる絶好機を迎える。これが決まれば熱戦は美しい形で締めくくられる。地面に叩きつけた渾身のヘディングシュートが川崎Fのゴールを襲う。チョン・ソンリョンの前で大きくはねたシュートは、ゴールネットを揺らすことなく無情にもバーを越えていった…

 

 

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