「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

両SBの不在が大きく響き、怒涛の攻めも結実せず涙を飲む/【レビュー】明治安田J1第34節 鹿島対セレッソ大阪

 沖悠哉が泣いていた。上田綺世もベンチコートを羽織ることもせず目を赤く腫らしていた。DAZNでインタビューに立つエヴェラウドはコメントを絞り出すのも辛そうだった。勝てばACLへの切符を掴めた一戦は引き分け。エヴェラウドのシュートが弾かれたあと、こぼれ球にいち早く反応した上田のシュートはキム・ジンヒョンの足に当たり、松村優太が繋いだパスを渾身の力を込めて押し込んだ上田のヘディングも右ポストが弾く。

 頭を抱える結末に、なぜあのシュートが入らないのか、なにかが足りなかったのか、と天の配剤を疑いたくなる。しかし、現実は力が不足していた、という一点のみ。選手たちは最後まで必死に戦ったが、今の力はJ1で5位だった。

 ただ、前節のメンバーで戦えていたら、せめて山本脩斗がピッチに立てていたら、という悔しい気持ちがどうしても湧き上がる。守備時には[5−4−1]になるC大阪を攻略するには、窮屈なサイドでのSBの振る舞いが重要だった。11月から5試合連続で先発していた山本、その5試合中4試合で先発した小泉慶を欠いた鹿島は、これまでの蓄積がリセットされ、まるでシーズン序盤に戻ったような戦いぶりとなってしまった。

 

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