「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

勝つためにやるべきこと/【コラム】

 DAZNでアツトカケルの金崎夢生回がとてもよかった。YouTubeには番組では未公開となった部分が公開されていた。

 

 

 番組の中で金崎が言っていたことの中で最も印象に残ったのは鹿島が持っている雰囲気に言及した場面だった。シーズンには必ずターニングポイントになる試合があり、その試合前になると練習の時から雰囲気が違う。次は大事な試合になることをわかっている選手が鹿島は多かったと言っていたところだ。未見の方はぜひ見てもらいたい。

 大事な試合前の雰囲気は取材をしていても強く感じられた。ピリッとした空気はグランドの外にいても感じられる。それは鹿島が好きな要素の一つだった。ただ、試合前に「大事な試合ですね?」と向けても選手たちは絶対に首を縦に振らなかった。昌子源や鈴木優磨など気心の知れた素直な選手は「そうっすね」と答えてくれたが、小笠原満男や遠藤康、内田篤人や金崎夢生は「いつもと変わらない」とつれない回答だったように記憶する。ついさっきまでピッチの上では気合いが入った姿を見せていても、わざわざ相手にわかるようにファイティングポーズを取るようなことはしない。試合に備え、見えないところで牙を磨いていた。

 あの当時、大事な試合前に彼らが何をやっていたのかと言えば、高い緊張感を自分にもチームメイトにも強いていたのだと思う。実力が拮抗した相手となれば細かなディテールが勝負を分ける。だからこそ、下らないミスや安易なミスを試合前から戒め、少しの隙も相手に与えない気持ちで準備を進めていたのだろう。

 つまり、彼らがやっていたのはメンタルを強く持つことではない。強い気持ちを持って試合に臨むのはもちろんだが、そんな曖昧模糊としたものではなく、もっと冷静で冷徹に試合を見ていたはずだ。2016年に鹿島はリーグ優勝を果たすが、チャンピオンシップで川崎Fや浦和が見せたのは本当に僅かな隙でしかなかった。それを見逃さずに勝機を掴んだのは「一生懸命」とか「死に物狂い」とかそんな漠然とした精神論ではなく、もっと具体的なものだったはずだ。

 

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