「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

強敵との連戦が生んだ成果。5対3でマリノスとの激闘を制す/【レビュー】明治安田J1第14節 鹿島アントラーズ対横浜Fマリノス

 横浜FMは強かった。

 ティーラトンが松村優太を引きつけ、前田大然が常本佳吾をピン留めする。縦に引き伸ばされたスペースに、左利きの扇原貴宏が入ってくる。扇原の利き足が外側にあるため簡単に止めることはできず、何度もその形をつくられてしまった。逆サイドではマルコス・ジュニオールがその役目を担っていた。 

 鹿島の守備は名古屋戦同様の強度を保っていた。土居聖真と荒木遼太郎がスイッチを入れるプレスに全体が連動する。構えたときのプレスだけでなく、ボールを失ったあとのトランジションも早く、松村優太や白崎凌兵、荒木遼太郎が相手を挟み込んでボールを奪う。少しでも時間を遅らせれば複数の選手で相手を囲み、レオ・シルバや荒木が前を向く場面をつくれていた。なかでもレオ・シルバの八面六臂の活躍は、前節の小泉慶同様の強烈さ。彼ら師弟コンビが味方でよかった。

 しかし、横浜FMはレオ・シルバの蓋を外すと確実にゴールに迫ってきた。12分には松原健の正確なクロスにオナイウ阿道を合わされる。犬飼智也がシュートブロックしてことなきを得たが、25分にはレオが寄せても止まらなかった前田の前進から、エウベルの突破を許し最後はオナイウに先制点を許した。30分には松原にミドルシュートを狙われた。

 悪くない試合運びをしていたなかで、チャンスを見逃さない決定力。わかっていたが公式戦16戦無敗の実力を垣間見た思いだった。

 ただ、久しぶりに失点しても鹿島の選手たちは慌てなかった。ゴールを許すと途端に自信や安定感を失う姿は過去のもの。守備のリスクを忘れてしまったかのように突然攻撃偏重になるのではなく、それまでの戦い方を続けることでチャンスを待つ。

 すると、CKの流れから前半のうちに追いつく同点弾を決めると、後半開始10分で3ゴールでたたみ掛ける。FC東京、名古屋と一瞬の隙も許されない相手と戦ってきた途切れることのない緊迫感が、選手を一段も二段も成長させていた。

 

 

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