高まるチームの一体感。苦しい展開を変えたのはファン・アラーノ!/【レビュー】天皇杯3回戦 栃木SC戦
3点目をアルトゥール・カイキが決めたとき、近くで見ていたパシェココーチが大きく手を叩いたのにつられ、思わず拍手を贈ってしまった。三竿健斗の丁寧なスルーパス、ディエゴ・ピトゥカのタメをつくりながらタイミングを図ったクロス、そしてカイキの爆発的な瞬発力。それぞれの特長が表れた美しいゴールだった。
相馬直樹監督はカイキの調子が上がってきていることを感じていたという。
「コンディション自体は上がってきてると感じていました。ただ、前のゲームでは、我々は4−0で勝ってる。そういうなかでスタート(先発)という形にはならなかったんですけど、必ずいい仕事をできるんじゃないかというのはありましたし、実際にそういうものを出してくれたと思います。2点目につながるところも最後まで諦めずにライン側でかき出してくれたのは彼ですし、そういうところも含めて素晴らしい仕事をしてくれたと思います」
確かに、2点目は犬飼智也のアバウトなボールに対し、カイキが諦めずに追いかけたことから生まれている。本来はヒールに当てて相手をかわしたかったようだが、それがうまくいかなくてもプレーをやめず、グイッと前に入って頭でボールを残したことがアラーノに繋がった。
そして、来日初ゴール。待望の得点が生まれると多くの選手がカイキの元に集まった。
「前回の札幌戦でもエヴェが今シーズンのリーグ戦で初めて点を取った時もそうなんですけど、今回、カイキが公式戦で初めて点を取ったというところで、仲間が、選手たちが一緒に喜んでくれた。その姿というものも、チームを預かる立場としては本当に嬉しいものだなと感じました」
正直、サッカーの内容はそこまでよくない。それでも、エヴェラウド、ピトゥカ、カイキと立て続けにブラジル人選手が結果を出すようになって、チームの一体感は急激に増している。若い選手が多いこと、明るい選手が多いことは、鹿島から重厚さを失わせているかもしれないが、こういう時に生まれるは爆発力は経験豊富なチームには無い良さだ。
ムードメーカーであるカイキの今後も含めて、これからの戦いに期待を抱かせる勝利となった。
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