「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

CBを孤立させずチーム全員で掴んだ勝点3/【レビュー】明治安田J1第3節 鹿島アントラーズ対柏レイソル

“泣く”とはどの時点からを指すのだろう。涙が頬を伝ったとき初めて泣いていることになるのだろうか。それとも涙腺から涙が湧き出てきたときはもう泣いているのだろうか。いずれにしても私たちは知っている。下手にまばたきすると涙があふれてしまうときの感覚を。涙がこぼれないように目のまわりの筋肉にぐっと力を込め、湧き上がる感情を抑えたときの表情を。

「ホームで公式戦3戦目にしてようやく勝利をすることができて、サポーターの皆さんと喜びあうことができて非常に嬉しく思います。非常に苦しい試合になりましたけれども、それは頭から想定して戦いました。いろんなプレッシャーが特に両CBにかかっている状況でしたので、それをいかに取り除いてあげるかというところで、非常に難しい試合でしたけれども、よく彼ら自身が乗り切って、そして乗り越えて次に向かうことができる勝利だったと思います」

会見場に現れた岩政大樹コーチの表情はすっきりしていた。関川郁万とキム・ミンテ。2試合連続でそれぞれが敗戦につながるミスをおかした両CBを慮る姿は、まさに指揮官のそれだった。しかし、苦しんでいたのは両CBだけではなかった。サポーターの皆さんがTwitterにあげていた試合直後の写真には、必死に感情を抑える岩政大樹コーチの姿が映っている。

目に見える形でプレッシャーがかかっていたのは両CBかもしれない。しかし、彼らだけを孤立させるのではなく、全員が自分の責務を背負い戦った。目指しているサッカーには遠く及ばない内容だったかもしれない。それでも一致団結して掴んだ勝利は美しかった。

 

 

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