無料掲載 【Gマガ】WELCOME TO THESPA ザスパ躍進のキーマンMF岩上祐三 ショートインタビュー 〜フットボールマシーンのプライド〜
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無料掲載【Gマガ】ザスパMF岩上祐三ショートインタビュー
〜フットボールマシーンのプライド〜
J1通算107試合、J2通算114試合出場のファイターがザスパにやってきた。MF岩上祐三。湘南、松本、大宮などでキャリアを積んだ中盤のユーティリティーだ。攻守のハードワーク、ゲームメークに加えて、プレースキック、ロングスローなどのストロングを持つ。出身は茨城県だが、高校時代は前橋商でプレー。岩上にとって、群馬は高校時代を過ごした縁のある場所だ。シャイな性格であまり多くを語らないが、内に秘めた闘志と自信は本物。ザスパ躍進のキーマンに聞いた。
「群馬は高校時代を過ごした、思い出のある場所。責任あるプレーをみせたい」
――群馬に戻ってきたという感覚?
「うーん、不思議な感覚ですね。群馬には高校時代の3年間しかいなくて、毎日サッカーしかしていなかったので群馬に帰ってきたという感じとは違うかもしれません。でも、だいたいの場所がわかるので懐かしさはあります」
――前橋商時代を振り返ると?
「とても濃い3年間だったと思います。部活もそうですが、学校生活も楽しかったですし、多くの友達ができて、すごく特別な時間だったと思います」
――今季でプロ9年目となる。
「J1に上がったり、J2でプレーしたりと変化がある中でのサッカー生活で、全部が順調とは言えないですが、楽しめてやれているかなと思います」
――J2に復帰したザスパへの移籍を決めた要因は?
「去年で松本を契約満了になって、チームを探している中で、すぐに群馬(ザスパ)が声をかけてくれたことに対して、ありがたく感じました。高校時代、3年間お世話になった場所にまた来ることができたというのも嬉しく思いますし、高校時代の友達がスタジアムに来てくれればさらに嬉しいです」
――前商時代の友達との交流はいまも?
「今回もみんなが連絡をくれましたし、やっぱり特別な仲間です。彼らがスタジアムに来てくれるので、集客の力になれるかなと思います(笑)」
――ザスパ始動から1週間が過ぎた。
「僕個人としては、新しいチームで、ようやく顔と名前が一致してきました(笑)。あとは個人のコンディションの部分をしっかりと調整して、チーム戦術へ入っていきたいと思います。ちょうど開幕戦まで1カ月なので、段階を上げて準備をしていきたいと思います」
――チームに溶け込んでいる印象だ。
「宮阪政樹は松本山雅で一緒でしたし、大前元紀は大宮で一緒でした。岡田翔平も同じ年齢で昔から知っているので、そこは仲良くやっています。ザスパに来てからは、田中稔也たち若手をご飯に連れていったりしています」
――ザスパの若い選手たちのプレーはどうか?
「みんな良いモノを持っていると思います。みんなアグレッシブなので、いまは彼らについていくのが精一杯です(笑)。開幕前はみんなが横一線なので勢いがあります。ただ、開幕後のポジションは限られてくるので、それぞれ沈むときもあると思いますが、そこは僕らが手助けをしていきたいと思います」
――今季のポジションは?
「いまは真ん中と右をやっていますが、チームとしてはこれからなので、求められるポジションでしっかりと合わせていきたいと思います。中盤であればどのポジションもできるので、監督の使い勝手がいいように、考えながらプレーしていきたいと思います」
――今季のザスパは、キャンプがない状況だ。
「キャンプがないのは、プロに入って初めてなので、すごく難しいと感じています。僕の中ではキャンプがあった方がいいので、コミュニケーションとチーム作りの部分は、みんなで工夫をしていかなければならないと感じています」
――キャンプがない分、岩上選手がそういう場を作らないといけないですね(笑)?
「そういうキャラじゃないです(笑)」
――今季のザスパの印象は?
「現時点では、まだ分からないですね。自分がまだ練習場などの環境に慣れていないので、コンディション作りの面を考えても、サッカー以外の面で慣れていかなければいけないかなと思います」
――多くの選択肢があった中で、ザスパへ来てくれたのは本当にありがたい。
「ここに来たからには、責任を持ってプレーしたいと思います。個人的には、チームの目標の『勝点50 16位以上』よりも、高い場所を目指したいと思います」
――ロングスローの名手だ。
「ロングスローを投げるか、投げないかは、僕ではなく監督が決めることなので、そこはチームの一員として役割を果たすだけです。投げないかもしれないですし、そこは監督に聞いてください(笑)」
――ロングスローのコツは?
「コツはないです。ただ、投げるだけです(笑)」
――ロングスロー時には、タオルにこだわっているとか?
「強いこだわりがあるわけではありませんが、手が滑らないように吸収性の高いタオルが希望です。でも、クラブが用意してくれるものなので、そこは、ぜいたくは言いません(笑)。今年のボールの質もありますし、まだ今年のボールを手で持っていませんし、ボールも投げていないので、なんともいえませんが、感覚的にはボールがちょっと軽いのかなと思います。まだキックのフィーリングが合っていないので、まずは足が優先ですね(笑)」
――開幕まで1カ月、ここからどんな調整を?
「まずはケガをしないように、体をギリギリのところまで追い込みながら、コンディションを作っていきたいと思います。2月からは本格的にチーム作りに入っていくと思うので、しっかりと準備したいと思います」
――奥野監督の印象は?
「他のクラブではアップはフィジカルコーチがやりますが、ザスパではアップから監督自身が指導をしてくれていますし、そこは驚きです。監督が最初からトレーニングをするのはプロになってからは初めてなので、すごく新鮮です」
――開幕戦はホームにアルビレックス新潟を迎え撃つ。スタジアムは満員が予想される。
「新潟は熱いクラブなので多くのサポーターが来ると思います。盛り上がる環境でプレーできるのは選手として、ありがたいことです。ホーム(ザスパ)のサポーターの方が多いことを信じて、開幕に備えていきたいと思います。チームのために戦っていくので、よろしくお願いします」
【取材を終えて】
キャリアに反して、控え目だ。1月13日の新加入会見終了後には、多くの記者陣に囲まれたが、「僕はこういうタイプじゃないので、次回からは他の選手でお願いします」と苦笑い。今回の取材後の雑談で、自身のSNS発信について「僕は自分からガンガン行くタイプじゃないので基本受け身です。でもフォローは待っています(笑)」と打ち明け、表情を緩ませた。そんなお茶目な一面も、若手選手を引きつける要因か。“一番弟子”の田中稔也は「今年は、ユーゾーさんについていくと決めました」と忠誠を誓う。岩上は、そんな若手たちの面倒をみている。ザスパは、過去に何度か岩上と対戦したが、彼は黙々と役割をこなすフットボールマシーンだった。岩上は、頼られれば頼られるほど力を発揮するタイプ。シャイなフットボールマシーンを完全起動させるのは、サポーターの熱き声だ。(取材・伊藤寿学)
(2020.01.22)