HAMABLUE PRESS

土屋雅史さん特別寄稿:横浜FCユースの現在地

皆様、お待たせいたしました。やっとのことで横浜FCユースのコンテンツを公開できる運びとなりました。

ユースの試合日は基本的にトップチームの試合日かその前後のため、芥川が取材に行けない状態です。そこでかねてから、スカパー!の中の人としてサッカー番組を手がけられ、現在はフリーでユース年代を精力的に取材されている土屋雅史さんに原稿をお願いしたいと打診をしていたところ、5/8に行われたU-18プレミアリーグEAST第6節・横浜FCユース×JFAアカデミー福島U-18の試合を取材されたとのこと。

そこで土屋さんに「横浜FCユースのプレミアリーグでの立ち位置を含めて、ここまでの戦いを紹介する原稿を書いていただけますか?」とお願いしたところ、快諾をいただきました。それでは早速、紹介しましょう。土屋さん自身も「楽しくて気合が入った」というアツい原稿です!

JFAアカデミー福島U-18戦。3点目を決め、控え選手も集まって喜びを爆発させる横浜FCユース(以下、写真はすべてJFAアカデミー福島U-18戦のもの)

 

▼横浜FCユースの歩み

まず、横浜FCサポーターの皆さんにお伝えしたいのは「あななたちのクラブのアカデミーは、かなり注目されていますよ」というメッセージだ。

1999年に産声を上げたクラブであり、JFLからその歴史をスタートさせた経緯を踏まえても、創設からしばらくはトップチームの運営に注力するのは当然のこと。アカデミーも発足はしたものの、関東圏にはJクラブの強豪アカデミーがひしめいており、すぐに目立った成績を挙げられたわけではなかった。

ただ、横浜FCはある“幸運”を引き寄せていた。それは2005年に横浜FCで現役を引退してからアカデミーの指導に長年関わり、現在はヘッドオブコーチを務める重田征紀の存在だ。重田本人はジュニアユースから読売クラブで育ち、ヴェルディ川崎でもプレーした生粋の“読売育ち”。数々のJリーガー、日本代表を輩出したそのメソッドを知る彼や、現在もユースの指揮官を務める小野信義を中心にしたヴェルディOBの指導をベースに、横浜FCのアカデミーは地道に力を付けていく。

私が初めて横浜FCユースの試合を取材したのは、2012年のJユースカップ準々決勝。横浜F・マリノスユースとの『横浜ダービー』だったのに、組み合わせの妙でなぜか大阪の万博記念競技場で行われた一戦だった。横浜FMユースは中盤に喜田拓也(現横浜FM)、新里涼(現水戸)、汰木康也(現神戸)が居並ぶ強力布陣。横浜FCユースもGKには高丘陽平(現横浜FM)が、ボランチには石井圭太(現岩手)が、最前線には木下康介(現水戸)がそろう好チーム。試合は0-1で横浜FCユースが敗れたが、当時も指揮官を務めていた重田監督に伺ったさまざまな話も併せて、不思議と印象に残るチームだったことをよく覚えている。

試合を見守る重田征紀ヘッドオブコーチ

 

それからちょうど10年。プリンスリーグ関東2部だったチームは、今や高校年代最高峰のプレミアリーグを舞台に戦っている。先日行われたあるリーグ戦の試合では、登録メンバー18人のうち実に17人が戸塚も含めた横浜FCのジュニアユース出身者。中学年代から一貫したフィロソフィーを掲げたことで長期計画で選手に向き合うことが可能になり、今では神奈川県内の好タレントが横浜FCのアカデミーを選ぶ時代が到来しつつあることも語り落とせない。

2019年にはプリンスリーグ関東で3位に入ると、プレミアリーグプレーオフを勝ち抜き、初めてプレミア昇格の権利を手に入れたものの、2020年はコロナ禍の影響でリーグ戦の開催がなかったため、今シーズンは実質プレミア2年目のシーズンに臨んでいることになる。

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